『からさんの家 伽羅の章』
小路幸也 著
(徳間書店・2023年9月・図書館)
東京・根津。言問通りの近くに建つ古い洋館に住む三原伽羅は、
詩人で小説家で画家、女優だったこともある多才な女性。
昭和・平成・令和と、自分に正直に生きた彼女の人生は、
この経歴からわかるとおり、波乱万丈。
そんな彼女に、息子の結婚相手の義理の娘・まひろという孫が出来た。
建築家志望の柊也、新進芸術家のタロウ、建築会社勤務の男性、
バーを営む祐子という、個性的な面々が下宿している家での共同生活。
その暮らしに、様々な事件と変化が・・・。
『からさんの家 まひろの章』の続編となります。
こちらは先に借りていたのですが、『・・・まひろの章』が未読だったため
一度返して借りなおしたものです。
前作の3年後ということで、これは順番通りに読めて良かったです。
ブロ友さんのアドバイスに感謝です。
今回は伽羅の視点で語られています。
ガンの転移が見つかり、年齢から「残りの人生」を意識する伽羅が
それでも淡々と日常を綴っています。
「終活」ということから家の今後をあれこれ考える伽羅ですが、
周辺には様々な変化が起こります。
まひろは柊也と恋仲になり結婚の約束をしています。
前作ではつきあってもいなかったのにね。
『東京バンドワゴン』のシリーズは血のつながった大家族のお話ですが、
こちらはほとんどの人が複雑な家庭環境だったほぼ他人ばかり。
それでも家族のようにつながっていけることに
都合よすぎのところはありましたが、
それもふくめて小路作品の良さですね。