『平家物語』
林真理子 著
(小学館・2023年11月・図書館)
日本古典文学史上の名作を、林真理子氏が換骨奪胎。
「鹿谷の謀議」「一の谷の合戦」「壇ノ浦の戦い」「大原御幸」など、
誰もが興味を惹かれる著名な場面、現代人の心に響く部分だけを
抽出して鮮やかに再構築しました。
スピード感あふれる展開!美しい情景描写!
さらに、平安時代末期の平家源氏皇室を取り巻く、
ドロドロとした抗争に翻弄される人々の内面を、
丹念に、リアルに描き出した部分は圧巻!
人物ごとに全九章で構成され一話完結形式。
序、治部卿局
一、入道相国清盛
二、三位中将維盛
三、無冠大夫敦盛
四、建礼門院徳子
五、二位尼時子
六、後白河法皇
七、九郎判官義経
結、阿波内侍
林真理子さんの最新刊。
歴史の中では戦国時代の次に源平の時代は好きなので読んでみました。
といっても、そこまで詳しくなくて知識は中途半端です。
この作品は、入門編といってもいいくらい、わかりやすく書かれており、
巻末には注釈や家系図もありますのでありがたい。
時系列ではなく人物ごとに描かれ、戦のシーンは多くなく
心理描写に重きがおかれているのは女性作家さんらしいところでしょうか。
特に、平家滅亡後、建礼門院徳子が出家し住んでいる大原寂光院を
後白河法皇が訪ねたとされる「大原御幸」が描かれた
最後の章が印象的でした。
一作年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が好きだったので、
その配役で思い描くことができる登場人物もいましたし、
わたしのような中途半端な知識のものには楽しめた作品でした。