タイミングが悪く
なかなか逢えない

『都内にいます。
逢いたいな』

送ったメールに
やっぱり返事はない

たぶん返事は来ない
でも…
ほんの少しの期待

やっぱりね…
慣れたあきらめの中にある
微かな痛み


下りの電車
駅に着いたら雨

やっぱり…
今日はついてない。

多くは望まない。

8年の歳月に
学んだ自己防衛

雨に濡れながら
自転車を走らせ
そのまま
熱いシャワーを
浴びた。

シャワーから出て
落ち着いて

携帯を見てみたら
…あなたのメール

タイムスタンプは
家に着いた頃

『メールに今気づきました。
めんご
気をつけてな』

短いメールの向こうに
大きな身体を丸めてメールを打つ
あなたの姿が見える気がして
うれしかった。

返事のないメールに慣れているけど

慣れているから

短いメールに喜べる

あなたもきっと
逢いたいって思ってくれた。
残念…という気持ちがあるから
返事をくれた。

バスタオル巻いたまま
携帯の画面を見ながら微笑んでる。

短いメールが
運んでくれる
優しい気持ち
仕事関係の飲み会が終わり
ご近所の人を送り届けた。

コンビニの駐車場に
車を止めた途端
携帯が震えた。

あなたからだ…。

うれしかった。

喧騒をバックに
明るい声が聞こえる

「まいど♪元気やったか?」

「今、飲んでるんやけど、元気やったら今夜逢いたいな。」

「元気だよ。
今日はこっちも
仕事関係のカラオケで帰りなんだ。」

「明日は仕事?」
「うん。仕事だよ」
「あなたは?」

「いつも通りや。朝早くはないんやろ?」

「9時半に家を出れば間に合う」

「7時に起きれば間に合うパターンやな」

「でも…」

口ごもる私

「返事はすぐじゃなくてもいいからメール入れて!」

「はい」

「じゃあ…また後でな」

「うん。」

誰かの呼ぶ声
飲み屋さんの賑やかな音の中
切れた電話


言えなかった。
今日は身体の都合が…って。

迷っていた。

家に着いて
メールした。

逢いたい。

でも…やっぱり

迷いの判断は
あなたに委ねた。

携帯が震える
薄紅色の光

あなたの着信
今日2度めの着信

「メール読んだよ。俺自身はあんまり気にせぇへんけど。
俺かて飲んでるから元気ないし。」

「そんなこと言ってもいつも最後まで出来るじゃん。」

「いや…別に出来なくても
一緒にいられて話が出来て
一緒に眠れたらええねん。
そやけど…なぁ」

「私は逢いたいけど…やっぱり気にするのは男の人でしょ。
あなたが決めて。」

「じゃあ帰るわ…ってここで言えるか?
あはは」

笑いながら言う。

「じゃあ帰るわ」

「もう…いじわる」
「あのな。こんな風にしか俺は言えへんやろ?
やめようなんて言えへんやん。
そやから発言は
考えてからせんとあかんよ…な~んてな」

笑いながら
でも…本音を言う。
「はい。気をつけます♪」


「今日はとりあえずあきらめる。
本当やったら
この前の店に行って歌いたいけどな」

「うん。行きたいなぁ。」

「とにかく今日は身体優先でな。ゆっくり休みなさい。
また連絡するわ。」
「わかった…ごめんなさい。」

「謝ることやないで…
また連絡するわ」

「うん。待ってる」
「今からあの店で歌って来る。
閉店頃に来てくれたら
うれしいけど無理は言わんようにしとくよ。」

「いじわる…行きたくなるじゃん。
仕事あるし…。
逢いたいけどあきらめたのにぃ。」

「あはは…俺もあきらめきれてへんのかもな。
ほな…おやすみ」

「おやすなさぁい。」

笑いながら
電話を切った。


聞きたい答えしか
言わせないように
仕向けてる
私を見抜くあなた。

やっぱり
するどいよね。


先週末
逢いたいって言ってくれた。

今日の電話
…元気か?の言葉

なぜ?

ブログ読んだのね。

傷ついてる私
わかったんだ。

二度の電話

あなたが逢いたいって思ってくれた
それだけでうれしかった。


飲み会の途中で抜け出し
電話をするあなた。
木曜日の夜は逢えるかも。

以前言っていた言葉を忘れない。

あきらめきれてへん…笑いながら言った本音


逢いたいって言う時は
あなたの心がつかれている時

誰にも言えない言葉を吐き出したい時


今夜は今頃
あの店で歌ってる?

行きたいけど
やっぱり
今夜はあきらめよう
それでも
何だか気持ちが暖かくなった夜。

次に逢う時には
しっかり抱きしめてあげよう。

私の胸の中だけは
少年のあなたに戻れる時間だから。
内緒よ…-090609_2358~0001.JPG
何の予定もなく
家事をしていた土曜日の午後

気持ちは
晴れなかった。

何度か送ったメールに返事はなく
電話は留守番電話

不安だった。


話をしたかった。
声を聞きたかった。

逢いたかった。

連絡など
入るはずはないと
思い込んでいた
土曜の午後

あなただけに決めたフォルダに
メールを示す数字

ドキドキしながら
メールを開く

『ひまならカラオケに行かない?』

相変わらずの
短いメール

『行きた~い。どこに行けばいい?』

すぐに返信をする。

待ってみる。


返事がない。

やっぱり気まぐれ?

思い切って
電話をかけてみた。

…いつもの留守電

はぁ
なぁんだ。
いつもの気まぐれ

それでも
あきらめきれなくて
マナーモードを
解除して
ポケットに入れて
家事の続きをする

しばらくして
ポケットの中から聞こえてきた
あなただけに決めた着信音

『まいど!しばらくぶりだね。』

明るい声

『麻雀するはずなんやけど
人数が揃わないから
帰ろうと思ったんや
でもな…せっかくやから
時間あるなら
逢いたいなぁって思ってな。

でもな、さっき人数が揃ったから
今から麻雀行ってくるわ。』

『そっか…そうなんだね。』

『悪いな。騒がせて。朝まで麻雀や。徹マン』

『あはは。いいよ。連絡くれただけでうれしいから。』

『この埋め合わせするからな。』

『楽しみにしてる』

短い会話でも
断りの電話でも
うれしかった。

思い出してくれたんだもん。

約束がキャンセルされて
時間が出来た時に
思い出してくれたこと。

私が傷ついていたこと
ネットの波間で
あなたは知ってる

あなたも
気にしていたこと

わかってる。

それでも
今、あなたが
何をしているのか
わかるだけでも
うれしい。

もう…いい。
もう…終わり。


思っていた気持ちが数分の電話で
消えていく

逢ったら
きっと
何事もなかったように
笑いあえると
信じられる2人

苦笑いしながらも
ただ…ただ
うれしくて

短いメールを何度も読み返す午後


今までの眠れぬ夜を取り戻すように
安心して
穏やかなまどろみの中に落ちた。

まどろみの中
2人で過ごした
カウンターの夜が
蘇り
うれしくて目覚めた

穏やかに昼寝が出来た午後

あなたの声が
耳の奥に残っている