ご婦人は立ち上がるやいなや、私の肩をわしずかみにし
「私が揉んであげるわ
ここをね、こうもんで欲しいの、こねるんじゃなくてね、こう押してほしいの」
『ヒィ~ッ!!』ショック!
「こうよ!こうよ!」
『ヒィ~ッ!!』ショック!
この時点で私の自我は完全に崩壊された。

周りのお客さんや仲間から浴びせられる冷ややかな視線しょぼん

私は音楽にかき消されそうな、か細い声でわかりましたとだけ答えた
しかしなによりあせったのはその時見えた時計の文字盤

『時間もうあらへんやん!?』
既に三十五分経過
いわゆる最後の仕上げ的な時間
さっきの要望を満たしていては時間オーバーしてしまう
時間か!?少しの延長しての要望か!?


どおする汗どおする汗どおするあせる



決断の結果


選択したのはベッドに座ってもらっての仕上げも兼ねた座もみ
『ではあちらを向いて座ってください』と座ってもらった矢先
ご婦人は服の上からではあるがブラジャーのホックををはずされた


何 故




ブラジャーをはずす??



ではなく



逆にブラジャーのホックをはめられていたのでした。

回転するのに少しでも邪魔にならないように……

しかし私がそれに気がついたのは

その日ではなく



他の仲間が生贄になった別の日でした。

                  

                お客さん時間ですよ……完

時間は夜8時頃
8台あるベッドは既に7台うまっていて

癒やしの音楽が静かに流れている

Fさん四十分コースにてご来店
私:「Fさんお久しぶりですね。今日はどこがお疲れですか?」

Fさん:「このね、左の首のつけねが酷くこっててね」 Fさん右手で場所を指す

    「それとね、ふくらはぎがはってるみたいなの、右足のね」

私:「わかりました。それではうつ伏せに寝てもらえますか」


~施術中~


Fさん:「実はね、私ねこの間、お葬式があってストレスのせいか

    頭も凝ってるのよ。額をもんでくださる」

私:「……」

Fさん私の返事きかぬまにベット上を一回転


~施術中~


Fさん:「私ね葬式が遠方だったから車の運転が長くて左腰もだるいのよ。横向きでもんでくださる」

私:「……」

Fさん私の返事きかぬまにベット上を半回転


~施術中~


私:「力加減よろしいですか?」

Fさん:「はぁ~っ極楽極楽フ~ッ」


私:「大分お疲れですね」

Fさん:「そうなのよ親戚が遠いとなにかと大変ですよ」


しばし静寂


私心中:『せっかくかけたタオルもくしゃくしゃや、掛けなおそうか、でも又この人動くか

しかしこれじゃまるで丁稚奉公か小作人並みの扱いやな

まあとりあえず静かにしといてくださいよ、他にもお客さんいるし…』

と思ってた矢先、Fさんはおもむろに 



おもむろに




くちゃくちゃのタオルもかなぐり捨て







立上がった        ………つづくガーン







人間十人十色といいますがお客さんのタイプも千差万別

施術中寝てしまい、後の感想で

気持ち良く寝かせてもらったと感謝してくれる人

そうかと思えば寝てしまってもったいない事したと怒る人


次の日にもみかえしになるぐらい

きつくもんでくれという超Mな人
もみかえし嫌やからさするだけにしてと

一時間ひたすらさすだけの人

無口でだまって施術を受けてくれる人

それとは真逆の人……



常連さんにFさんという年齢は六十代前半のご婦人がおられます
ある会社の会長夫人という方で外見は凄く上品でお綺麗な方
ところがこの方、とにかく超おしゃべりです。そしてとにかく



ウ ゴ キ ます




ウ ゴ ク いっても、施術中に体を動かしたりするのではなく




カ イ テ ン なさりますヽ((◎д◎ ))ゝ


                       ……… つづく