沖縄に通い続けて20年。

朝昼晩と数々の飲食店を飲み歩いてきたが、実はいまだ、「行きつけ」と言えるような店が、ワタシにはない。

単純に美味いのが理由で何度も通っている店はあるが、店主と顔なじみになって談笑できるような関係性はない。

20年も通い続けて、行きつけの店の一軒もないの?

そう言われたら、返す言葉もない。

もちろん、沖縄本や沖縄マニアのブログに書かれている「行きつけ」の怪しいスナックなどで繰り広げられる楽しそうな交流には、強い憧れを感じている。

しかし、それでもワタシには、「行きつけ」の沖縄がない。

なぜだろう?
一つ目の理由は、ワタシがそれほど社交的ではないこと(笑)
行きつけの店での交流には憧れを抱くが、その反面、めんどくさいとも思ってしまう。
二つ目の理由は、那覇が持つ並外れた包容力にあると思う。
那覇には一人でも入れる気軽な店が山のようにあり、そんな店ではワタシのようなお一人様が、決まって飲んでいる。
だからだろうか、一人で飲んでいても不思議と寂しさを感じることはない。
だいたいどこで飲んでいても、那覇の緩い空気に包まれてのびのびと飲む、ワタシみたいなお一人様仲間を隣に感じることができるのである。
少なくともこの街は、何だかよく分からないものを抱えては、ノコノコやって来る我々を拒むことはない。
だからワタシは、「行きつけ」の店がなくても、那覇の路地裏で適当に飲んで酔っ払って、あたかも「行きつけ」の店で飲んでいるふうに振る舞ったりして、楽しい夜を過ごすことができるのである。

おわり。