国宝 洛中洛外図屏風 船木本 の紹介です。
(らくちゅうらくがいず びょうぶ ふなきぼん)
筆 岩佐又兵衛 (いわさまたべえ) 、諱は勝以(かつもち)
国宝指定 2016年8月17日

京都の市中とその周辺を描く洛中洛外図の1つで、滋賀の舟木家に伝来したため、「舟木本(ふなきぼん)」の名で親しまれています。
六曲一双(ろっきょくいっそう)屏風
各162.7×342.4 cm
江戸時代 景観の情況から元和(げんな)初年ごろ(1614年から1616年)の作とされている。
東京国立博物館所蔵
岩佐又兵衛について(超略歴)
1578年 伊丹で誕生 父 荒木村重 信長に謀叛
1579年 伊丹城落城 又兵衛は石山本願寺に逃れる
1598年 豊臣秀吉死去
1603年 徳川家康 征夷大将軍となる。江戸幕府が成立
1604年 秀吉七回忌 豊国神社で祭礼
1614年 京都 方広寺の鐘楼完成
1615年 大坂の夏の陣 豊臣氏滅亡
1614から1616年 洛中洛外図屏風 船木本 描かれる
1637年 又兵衛 越前から京都経由で江戸に移る
1650年 又兵衛江戸で没する
作品の特徴
従来の形式(上京(かみきょう)と下京(しもぎょう)をそれぞれ東と西から別々に眺望して2図に描き分ける)を破り、1つの視点(南方)からとらえ、左右の隻にまたがってダイナミックに当時の建物、町の様子をパノラマで展開、随所に当時の貴人、南蛮衣装に身を包む人、表情豊かな生き生きとした町民たちの生活や風俗が細かに描かれてています。
人々のファッションも見逃せません。
見どころは沢山あります。
俯瞰すると
右端には豊臣の象徴ともいうべき方広寺(ほうこうじ)大仏殿
左端には徳川の二条城、
家康が築城した二条城での裁判
徳川が事件の裁きをする、つまり天下を治めていることを象徴しています。
この屏風には、豊臣と徳川の対立、大坂夏の陣前後の緊張した雰囲気を絶妙なタッチで描き、暗示しています。
そして右隻から左隻にかけて鴨川が斜めに横切り、中央部には洛中、洛東の町並が広がり、人々のエネルギッシュな活動風景が描かれています。
例えば、祇園祭の行列、神輿を担ぐひと、歌舞伎に興じるひとびと、馬を走らす武士、牛車で内裏に向かう公家など、眺めていて飽きません。

主だったものをランダムに書き出しますと、
右隻
鴨川の東、洛外が中心
上方では桜が満開する豊国社(とよくにやしろ)、清水寺、祇園社(八阪神社)、五条大橋、鴨川の岸、川舟の行き交い、方広寺大仏殿、四条河原での歌舞伎や操り浄瑠璃、歓楽街の盛況ぶりが描かれています。
左隻
大部分が洛中、御所(儀礼の様子)、徳川建立の二条城(裁判の様子)、祇園祭の神輿(みこし)、母衣武者の行列が町を進行(山鉾は描かれていない)、南蛮姿も登場です、右下には三筋町の遊郭の様子などさまざまな人々を見ることができます。
◯左右合わせて、約2500人が屏風狭しとうごめく様子は圧巻です
◯当時は、和蝋燭の炎の揺らぎのなかで屏風を眺め、臨場感を感じていたことでしょう。
◯VR作品『洛中洛外図屛風 舟木本』
東京国立博物館のミュージアムシアターでは、これまで何度かVR作品『洛中洛外図屛風 舟木本』の上映を行っています(監修 東京国立博物館、制作TOPPAN株式会社)。実物鑑賞では見えづらい花見席の様子や、祇園祭のにぎわいから広がる400年前の京の世界が高精細に再現されています。
◯2024年5月9日 私は、東京国立博物館 東洋館ミュージアムシアターでの、同作品のVR上映を鑑賞してきました。20分ほどの内容ですが、大きなスクリーンに鮮やかに映し出される洛中洛外図は圧倒的な迫力があり、描かれた人物の躍動感、町の風景がリアルに肉薄してきました。
シアター入り口には、実物大に再現された屏風が展示されていました。


◯参考
https://youtu.be/fg5o5zEQgUo?si=ZHwMZVHgoRP6a9tb
e国宝 - 洛中洛外図屏風(舟木本)
(e国宝に遷移)
詳細を見ることができます
解説図書
「洛中洛外図 船木本 町のにぎわいが聞こえる 」 著者 奥平俊六氏
とってもわかりやすいです、絵を見ながら楽しく読み進められます。
複製屏風を購入することもできます(例)
破格ですが、魅了された人はためらいがないのかもしれません。
Q 洛中の範囲はどこまでですか?
A「洛中」京都市街地中心部をさす呼称。 1591年豊臣秀吉により御土居(おどい)が建設され、以後これに囲い込まれた地域を洛中、外を洛外とする概念が定着した。 絡は首都を意味する京洛に由来する。 現在の上京区、中京区、下京区のほとんどが含まれる。)
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