「荒木村重の足跡を辿る」(No.11)(荒木S) (東大寺正倉院) | 荒木村重研究会

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荒木村重研究会は「荒木村重研究序説」(瓦田昇著)の
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「東大寺正倉院」(奈良県奈良市)を訪問

天正2(1574)年3月27日、織田信長は奈良に赴き、東大寺正倉院に収められている(香木)蘭奢待(らんじゃたい)(*1)を切り取り、その威光を示しました。

荒木村重は、塙直政(ばんなおまさ)・菅屋長頼・佐久間信盛・柴田勝家・丹羽長秀・蜂屋頼隆・武井夕庵(たけいせきあん)・松井友閑(まついゆうかん)といった信長の側近や重臣と共に、奉行・特使を務め、東大寺へ派遣され、信長より篤い信頼を得ていました。

蘭奢待を切り取ることについて、事前に朝廷からの許可を得ていた信長は、近くの多聞山城(奈良市)(*2)に入り、東大寺正倉院から運ばれて来た蘭奢待が、東大寺の大仏師により切り取られた直後に、その角片を受け取りました。

なお、この蘭奢待切り取りの件について、「信長が天皇・朝廷を武力で威圧し、強引に正倉院を開けさせ、行なった。」旨が、長い間言われて来ましたが、実際は、「武力で威圧することなく謙虚に振る舞い、慣例に従って行なった。」と近年修正されつつあるようです。


*1  蘭奢待:
東南アジア産出の代表的な香木の一つで、天下第一の名香・権威の象徴とされ、時の権利者(室町幕府八代将軍足利義政など)も切り取ったと伝わっている。「蘭」には「東」という名、「奢」には「大」という名、「待」には「寺」という名が隠されている。

*2  多聞山城(多聞城)(奈良市法蓮町):
現・奈良市立若草中学校の敷地内にあった、松永久秀・松永久通・塙直政の居城となった平山城。

※東大寺正倉院を訪問する際の注意点

正倉院「正倉」外構は、土・日・祝・休日、年末年始等には非公開です。
「正倉」外構を見学希望の方は、事前に必ず公開日時を確認し、訪問してください。
また、正倉院に収蔵されている宝物については、毎年秋に公開されています。見学希望の方は、公開日時・会場を事前に確認し、訪問してください。


※多聞山城(多聞城)跡を訪問する際の注意点

多聞山城(多聞城)の石碑が、若草中学校の正門内すぐの所にあります。
正門外からでも(遠くに)見えますが、間近で見たい方は、若草中学校の教職員さんに入校(見学)許可をもらえないかどうか、相談してください。
校内に入ることが出来れば、上記の石碑の他に、多聞山城の遺構を見ることが出来るかも知れません。

[参考図書等]
シリーズ【実像に迫る】010 「荒木村重」
(天野忠幸著、戎光祥出版)
「戦国摂津の下克上」(中西裕樹著、戎光祥出版)
「地図と読む 現代語訳 信長公記」(大田牛一著、中川太古訳、KADOKAWA)
「にっぽん!歴史鑑定『戦国のミカド 正親町天皇と織田信長』」(TV番組、2021.5.17放送、BS−TBS)

「(東大寺)正倉院のホームページ」
「ウィキペディア(Wikipedia)」
「Googleマップ」
[東大寺正倉院へのアクセス]
JR奈良駅・近鉄奈良駅から
  バス「今小路」で下車後、
  徒歩約11分(約800m)

近鉄奈良駅から
  徒歩 北東方向に約25分(約1.7km)

[多聞山城へのアクセス]
JR奈良駅・近鉄奈良駅から
  バス「手貝町」で下車後、
  徒歩約9分(約600m)

近鉄奈良駅から
  徒歩 北北東方向に約19分(約1.4km)


[写真上]東大寺正倉院


[写真中]若草中学校正門内の多聞山城(多聞城)石碑


[写真下]若草中学校正門外の右手の多聞山城(多聞城)の説明板