小泉純一郎「決断のとき」読後感 | あらき大樹のブログ

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荒木大樹(あらきだいじゅ)
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  小泉純一郎。衆院選初当選から29年で総理になり、その後5年の間に構造改革、郵政民営化を成し遂げた。2011年3月の東日本大震災の後には、かつて総理時の原発推進派から大転換し、原発ゼロ社会を目指す活動を開始する。東日本大地震の救援活動「トモダチ作戦」に参加して被曝し病に伏した元米国兵たちの話を聞き、即決、涙の「支援基金」を設立する。

 

  この本は、衆院選に落選し初当選するまでの福田邸玄関番、角福戦争、連戦連敗の総裁選、YKK、構造改革、日米同盟、電撃訪朝、郵政民営化、政界引退、そして「まさか」の原発ゼロ活動へ。元総理自らの半生の内幕を語ったリアル回想録である。ノンフィクションライターの常井健一氏が取材、聞き取りを重ね、小泉元総理本人の下、構成された。「変人」小泉元総理のこれまでの政治姿勢、責任感、義理と人情厚き人柄、子育て論、家族愛が赤裸々に直で語られている。

 

 

1.「常識」を取り戻そう。

 

2011年3月11日、東日本大震災が起こり、福島第一原発爆発事故並びにメルトダウン。放射性物質は広大な範囲に飛散し、多大な被害をだしている。今もなお終息はしておらず、冷却のための汚染水は増え続け、廃炉への道のりは遥か遠い。

 

 

  随所に、政治から引退してもなお活動を続ける小泉元総理の使命感、「原発ゼロ」は「俺がやらねば」との決意がひしひしと伝わってくる。原発という人類の生存に関わる重大事、俺がやらねば誰がやるんだ、と。

 立法して、今後30年かけて原発ゼロということだが、小泉元総理は、現在76歳。残された命の時間を原発ゼロに費やすつもりだ。政治とはかくあるべし。引退した立場であっても、人として、やらねばならないということだろう。

 

 

2.農業改革と原発ゼロ

 

  総理時代に日本の農産物の輸出促進したことに触れている。ドバイで1個三万円のスイカ、北京で1個二千円の青森リンゴ。一兆円も夢じゃない成長産業であり、美味しい日本の食べ物は海外では高値で売れるのだ。そして自然エネルギー推進で原発ゼロ、農業のようにエネルギーも地産地消していけばよいと語る、いわゆるスマートシティの概念である。

 

  農業改革と原発ゼロ、これらを実現できれば、日本経済は必ず飛躍的に成長出来ると断言している。両立関連の例として「ソーラーシェアリング」をあげる。