漢字を覚えるとき、ノートに同じ漢字を10回書いて覚えた。
10回書いて覚えられない場合はまた10回書いて。。。
漢字練習は、ある意味頭を使わずにノートを埋められる作業だった。
小学校の宿題は、1日ノート3ページだったか5ページ。
早く書けばノートが埋まる。空いた時間でゲームができる。
早く書くためには、毎回漢字を見てから書いていては効率が悪い。
だから見なくても書けるようにいろいろと工夫をした。
いろいろ工夫したと思うが、特に覚えているのは、漢字の形を口に出しながら書く方法だ。
印象が強いのは疑問の「疑」。
ひ や ま あ
と言いながら書いていた。わかりにくいので形を変えると
ヒ 矢 マ ア
だ。
最後のアは、少々わかりづらいか。
ヒマ
矢ア
あの頃から30年くらいは経っているけど、未だに疑を書くときは「ひやまあ」と頭の中で言いながら書いている。
何の話かというと、中口の話をするための導入である。
中国とロシアの話ではなく、チュウクチの話だ。
校正修行時代、 値札校正の作用をすることが多かった。
延々とリスト校正だ。おもしろみもないし、個数こなしてなんぼな現場だったから、疲労がヤバイ。
なのに単純作業だからか、他の現場に比べて報酬が安い。
ベテランからは不人気現場だった。
こんな現場は、経験値が少ない自分みたいなのがよく呼ばれるため、新人交流の役目も担っていた。
その現場、クライアント側も校正をしているのか、校正者の見落としを指摘してくれるところだった。
スピードを出すと見落としやすい漢字や、誤植のノウハウはここで身についた。
そこで中口だ。
あるとき、自分より校正経験のないおばちゃんが指摘漏れを起こした。そのおばちゃん、どちらかといえばミスが多いおばちゃんだった。
<リスト>
カレー 甘口 ○○円
カレー 中辛 ○○円
カレー 辛口 ○○円
<値札>
カレー 甘口 ○○円
カレー 中口 ○○円
カレー 辛口 ○○円
これを見落としてしまった。
経験の浅い校正者が、スピードを出して横塗り(1文字ずつ縦に塗って校正するのではなく、一単語ずつ横に塗って校正するやり方)校正してんだ。そりゃ見落とす。
制作ってそんなミスもすんのかよ!?って印象に残っている。
あまりに印象強かったので、カレーを校正するときは、しばらく「中口」になってないよね?って校正していた。
それがくせになって、今もカレーを校正するときは、中口になっていないか意識している。
けれどカレー中口に出会ったのは、その時の一度きりだった。
あれからずいぶん経って、カタログ校正をしていたときに「中口」に出会った。商品は日本酒。
お、中口ってあんじゃん!指摘したろって少し嬉しくなりつつ、指摘をする前にネットで商品名を検索したんだ。
したら、日本酒って中口あんのね。
無駄と思っていた作業が実を結び、無駄じゃなかったんだ!という喜びに近い驚きと、
間違いだと決めてかかって調べてみたら間違いじゃ間違いじゃなかった
味について書かれている日本酒を校正するときで、相方がいるような仕事だったら、雑談として話したいのだが、なかなかそんな機会に恵まれないんだよね。
ちなみに読み方は「なかくち」らしい。