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60代の哀歓こもごも

何日ぶりだろう。まとまった雨が降っている。

雨予報でも、雷注意報が出ていても、雨はほとんど降らなかった。

畑の水やりは欠かさないが、それでも土を掘ってみると、濡れているのは表面だけで、硬いサラサラの土が顔をだす。ここは砂漠か…。

 

記録的に早い梅雨明け。酷暑。バテ気味なのは、私だけでない。 同居ウサギのはるちゃんが、食欲ゼロで動かなくなり、一日中じっとしているようになった。緊急外来で精密検査やレントゲン、エコーで調べても原因不明。お腹に未消化の食塊とガスが溜まっていて、それを押し出すことができないという。ウサギは簡単に死ぬ。もう、名前を呼んでも反応がない。

4日ほど、点滴のために動物病院に通い、薬や粉末状の干し草をシリンジ(注射器の針のないやつ)で与える。食べてくれるものは、なんでもためした。ハーブは鼻先で拒否する。ニンジンダメ、いちごダメ、バナナダメ…で、ウサギ用のドライパパイヤをひとつぶ食べてくれたときは、狂喜した。

ウサギは、痛みを訴えることをしない。つらそうな表情もなく、無反応でも大きな丸い目は変わらない。希望はウンチだ。ウンチが出なければ数日で死ぬ。

5日たって最初にいつもの10分の1くらいの大きさのウンチを床の上に発見した。希望のひとつぶ。半紙につつんで、医者に見せた。

それから、急速の回復。動物病院通いしなくてよくなり、今ではほぼ元通り。以前と変わったのは、エアコンの効いた部屋には来なくなり、リビングの自分のケージに戻ってじっとしていることだ。リビングにエアコンがないので、隣のエアコン部屋のドアを開けるか、扇風機や保冷剤を置く。だいたいは大理石の板の上で脱力して寝そべり、たまに廊下を通り、私のエアコン部屋に来る。

 

コロナより熱中症に注意。人はあまり外出しなくなり、選挙も盛り上がらず、物価は値上がり、円安はどんどん進行し、なんだかなぁ、2022年の夏。 ミミズがあまりの暑さに土から飛び出し、帰る方向を見失い、アスファルトの上で何匹も干からびている。

この国も干からびていくんだろうなぁと思っていたら、安倍さんの暗殺事件。 手製の銃。テロだと思ったら、新興宗教に対する怨恨だという。

元首相と統一教会との関係は以前から取りざたされていたから、不思議ではないが、犯人は41歳。就職氷河期世代。大学を出てもずっと非正規で、自衛隊に入ったり、派遣で運送会社で働いていたらしい。母が新興宗教に多額の寄付を強要されて、一家破たん。

政治と宗教は、人の不幸や不運をエサに肥え太っていく。 そんなブタ野郎ひとり殺して、本人はほっとしたらしい。 警察は精神鑑定をするという。

選挙は、予想通り、与党が増えて、両院とも憲法改正発議に必要な3分の2超え。 岸田首相は早急に憲法改正に着手するという。

最近、ハンナ・アーレントの「人間の条件」を読み始めた。1958年間刊行の64年も前の本。彼女の「政治」は、今の政治の利害の追及とか、支配や暴力という要素はなく、古代ギリシャのポリスがモデルとなっている。言葉を介しての精神的な営みが「政治」で、この生臭くないきれいごとの政治がけっこう魅力的。

ウサギの現況報告で、字数を使ってしまったので、読み終わってから感想を書きますが、私は本質的に「きれいごと」が好きなのだ。実情にそぐわなくてもKY(空気よめない)でも、きれいごとには、「こうありたい」ということが率直に語られている。

もう一冊、レヴィナスの「全体性と無限」(1961)という本も、ウクライナ戦争にモヤモヤして読み始めた。

戦争という全体性に巻き込まれない自分、そんなことを考えている。

 

雨がありがたい。先日のわずか風速5m程度の風で、2.5mくらいの高さのヒマワリが3本も折れた。支柱を添えてまっすぐにし、包帯ならぬ梱包シートで傷に巻きつけた。根からの水分が先端まで行くようになれば、回復だ。毎日じゃぶじゃぶとバケツの水を根元に撒き、先端の葉はしおれていない。

さらに、昨日、畑の花が大量に根っこから抜かれた。ユリ、百日草、ひまわり、カモミール。背丈の高いものばかりだ。犯人は不明であるが、足跡は私の長靴25センチよりも大きい。 ひまわりの折られた位置からすると、身長170㎝以上はある。ぶちまけた重いプランターの飛距離は3m近く。狙ったのは、オレンジ、赤、黄色、ピンクの花。

目につく鮮やかな花を抜いたり、折ったり…、動作が大きい。プランターを投げ、柵を引き抜き…。短時間暴れて、立ち去ったのだろう。

散歩コースなので、見つかるリスクは高い。

計画性はない。衝動的。動機は不明。

 



引っこ抜かれて、根があり、枝の損傷のないものはそのまま植えなおした。

重傷を受けた植物に、雨はありがたい。 再生できるかも知れない。

天が味方をしてくれた。

 

人生プッツンされてしまうのも天の仕業。政治家のみなさん、遺志を継いでとか、継承するとか言って人の死を利用しようとするのはやめたらどうだ。人の業績は功罪ともに死によって完結する。 

少子高齢化、人口減少、経済下落…の時代に継承できるわけがないだろう。持続可能、いや「縮小」を喜んで迎えよう。文科省と防衛省の予算規模はほぼおなじ5兆円。防衛2倍にすれば、教育ゼロ。借金は1000兆円超え。ありえないだろう。安倍さんにサヨウナラして、これからは「小さな島国ニッポン」をみんなで楽しく生き延びる。

 

ウサギが回復したなら、ひまわりも、抜かれた花々も天からの恵みの雨が生き返らせてくれるだろうと、なんだかうれしい今朝です。

 

保冷剤、お気に入り