ロシアを知る①キエフ・ロシア | あらかんスクラップブック

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60代の哀歓こもごも

ロシアのウクライナ侵攻は、まちがいなく、歴史的な戦争だ。

日本の報道は、その戦争を利用して、日本は「軍備増強」すべきとか、「敵基地攻撃能力」とか、「台湾有事」、「北朝鮮ミサイル攻撃」、「核共有」…自衛隊明記する「憲法改正」の方向へ誘導しようとしている。

 

一方、独裁者プーチンは、ロシア国内では、侵攻以来支持率がアップし、なんと80%超。プロパガンタに支配され、情報統制でロシア軍の虐殺の情報が伝わらないからだけの理由では納得できない。なにかプーチンがロシア人の琴線にふれる何かを持ってるのではないか?

 

ちょっと、立ち止まって、考えてみれば、私はそもそも、ロシア、ましてウクライナについてほとんど知識がない。 私が小さな子どもの頃は、日本でもソ連の社会主義は実現されたユートピアだったんだよ。それからスターリン批判、ゴルバチョフの「ペレストロイカ(立て直し)」、なんか実像はユートピアのイメージはなくなって…、70年間のソビエト社会主義は??何だったのか状態。

ソ連は、反資本主義のユートピアじゃなくて、専制主義の閉鎖的な国家?ゴルバチョフがペレストロイカで改革を試みたが、1991年にソ連は崩壊した。

プーチンのやり方も強権的で、私のなかでは、ロシアはずっと謎が大きくスルー状態。

文化面では、チャイコフスキーとか、バレエは好きだけど、ロシア文学は、ドストエフスキーは暗すぎる。不幸が凝縮している。殺人、自殺と死が隣にいてときどき生が異様にブレイクする。それに比べてトルストイは生と自然に対する信頼があって、そこがいい。亡命したロシア人はけっこう好き。 少しはなじみがある。

 

でも、ロシア人の知り合いはいない。

こんな私で、ウクライナ侵攻に対しては、

TVや報道にプーチンが考えていることを教えてもらったって、それをそのまま信じるのは、どうかな?と思う。

プーチンは何を考えているのだろう? ロシアについて知ってるのはせいぜいソ連時代から。それが私が生きてきた時間だから…。

 

図書館で、ロシアの歴史に書かれた本を数冊借りてきた。 TVでにわかロシア研究者と名乗っている人を信用することはできない。

 

そのなかで、一番よかったのはこれ↓

 

そこで、まず歴史から。

日本は島国で独特だし、植民地になったこともないから、ロシアとは国の概念も違うだろう。

 

自分で調べると、興味がわいてくるし、このプーチンの戦争にどう向き合うか。自分で考えたい。

 

プーチンは、「キエフ・ロシア(ルーシ)の時代に遡って、ロシアとウクライナとはど同民族だから」ということを強調しているが、キエフ・ロシア時代は9~13世紀、ロシアはこんなこんなに領土は小さかった。

北部は森林地帯だが、南部はステップ(草原)地帯。肥沃な黒土で、農期には雨が少ない。短い夏に集団的農業をやらなきゃいけないから、家父長制大家族と農村共同体。土地はいくらでもあるから、地力が落ちれば、移動して新しい土地に植民、開拓する。ロシア文学では、そんな農民の生活がよく描かれているね。ロシア民謡もほのぼのとしている。

 

もともと、民族それぞれが共通の言語、習慣、信仰などごとに点在して居住して農業をしていたのが、ノルマン人が侵入してきて、対抗するために連立して「キエフ・ロシア」となり、ドニエブル川を利用した交易などを通じてゆるいつながりをもっていた。キリスト教を国教として導入した。

やがて、国王の親族争いや十字軍の遠征、地中海貿易の活発化などで、キエフ・ロシアは衰退し、東から攻めてきたモンゴル帝国によって滅亡する。

 

モンゴル帝国に支配されたのは、1236年か1480年。240年間。

侵略された後、実際支配したのは、キプチャク・ハン(金帳汗)という国だったが、モンゴル人に従ってきたトルコ系のタタール人の支配も受けた。

モンゴル支配で、初めて「個人が国家に服従する」という国家原理が、ロシア人に植えつけられたという説もある。 広い土地を求めて植民、開拓が日常なら、征服や統一などというアイデンティティをもたないからね。異民族支配は、「モンゴル=タタールのくびき」と言われている。

くびき(軛)は、牛や馬につける横木。 横木に堪えて、ロシア人は自らを「ドルゴチェルペーニエ(長い忍耐、辛抱強さ)と名付けて、美徳とした。

 

タタールのくびきという辛抱から解放されたのは、モスクワ公国によって統一されたとき。北西ロシアの共和国が崩壊し、いわば専制、封建時代体制になる。

プーチンは、ロシア国家を統御するためには、侵攻をも許さぬ強権が必要だとしているから、彼が目指すのは、キエフ・ロシアではないことは確かだ。

長くなってしまうので、次回に続けます。

 

ロシア革命までのロシア人に思いをはせようと思っています。

ソ連時代も、ちょこっと書こうかな?