11月19日は、今年のボジョレー・ヌーヴォーの解禁日だった。
今年のキャッチコピーは、「極めて早い成熟と乾燥した夏による”究極のミレジム(ヴィンテージ)”」。
今年、ボジョレー地方は、夏に乾燥が続いて、ぶどうの水分が少なく、比較的成熟した味わいになってるとか…。
日本では、80年代のバブル景気時代に、ボジョレー・ヌーヴォーは、日付変更線の関係で世界で一番早く飲めるとブームになったが、いまではさっぱり…。
フランスブルゴーニュ地方。その南端のボジョレー地区は、ブルゴーニュでもピノノアール種しか使わない地区と異なり、格下品種のガメイ種。
その上、ボジョレー・ヌーヴォーは、ボジョレー地区でもランクの低いワイン。 かつては居酒屋のがぶ飲み用に消費されていた。
そんな取り柄のない、しかも新酒。 ワインはふつう1~2年樽にねかして熟成させる。 でも、ボジョレー・ヌーヴォーは、2~3か月で味が落ちてしまう。 年明けて「ヌーヴォーだ」なんてお正月ワインにする人を知ってるが、寝かせて美味しくなるワインじゃない。
ボジョレー・ヌーヴォーは、1人の天才?の戦略のたまもの。
ジョルジュ・デュブッフ。 低級で安いワインを生産していたが、50年前にあることを思いついた。
早く飲めることしか取り柄がないが、それを個性として、アピールしようと思い立ち、 リヨンの3ツ星レストラン、ポール・ボキュースのメニューに入れ、高級品として演出した。
ラベルのデザインも毎年変えて、ボジョレー地区にワイン村というテーマパークをつくり、アメリカと日本の有力販売企業に売り込み、世界的な販売ルートで市場拡大を図った。 ボジョレー・ヌーヴォーは世界的なブランドになった。
100年以上前、11月になると酒飲みたちが、この新酒を求めて、フランスの各地から来て、まだワインとは言えない未完成品が横行したため、 政府が粗悪品が広がり、フランスワインの評判を落とさないように、解禁日を法律できめたのが始まり。
バブル期の頃は、ワインと言えば、ボジョレー・ヌーヴォー。
アホか!あんな不味いものと、若かりし私は、反発して決して飲まなかったが、年とって、丸くなった。
初ガツオ、初ナス、初キノコ…。初物を食べると75日長生きをするという。 日本人は、なんでも受け入れてリミックス。 初ワインも季節の到来と、ぶどう畑を維持してくれているフランス人に感謝していただこう。 そんな気持ち。
今年の1月にジョルジュ・デュブッフ氏が亡くなった。86歳。
小さなワイナリーから、世界的にワインを広めた功績は大きい。
敬意を表して、あまり期待をしないで、ボジョレー・ヌーヴォーのハーフボトルを、成城石井に買いにいくか…。
数年前に観た、ブルゴーニュのワインがモチーフになった映画。
すごく良かった。 もう一度見てみたい。 成城石井のあとに蔦屋に行ってレンタルしよう。
ボジョレー・ヌーボーでなくて、もっと熟成したフランスワインを片手にね。
映画のキャッチコピーが、「季節を移ろいながら、熟成を重ねる愛おしい日々」。
おぉ、私にぴったりだ…。