ウインターコスモス
先月、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が、来日した。82歳としてはハードなスケジュールで、広島、長崎、東京などを訪れた。
日本のカトリック信者は、人口の0.3%しかいないのに、報道などでずいぶん注目された。
最近、来日時のメッセージ(スピーチ)をネットで公開されたのを全文、読んでみた。
「戦争目的での原子力の使用は倫理に反する」
「核兵器の所有も倫理に反する」
「真の平和とは、非武装の平和以外にない」
「戦争のための最新鋭で強力な武器を製造しながら、平和について話すことなどどうしてできるでしょうか。」
「武器を手にしたまま愛することはできません。」
「原爆と核実験とあらゆる紛争のすべての犠牲者の名によって、声を合わせて叫びましょう。戦争はもういらない。兵器の轟音はもういらない。こんな苦しみはもういらない。破壊があふれた場所に、今とは違う歴史を描き実現する希望があふれますように」
日本政府は、核兵器廃絶をアピールするくせに、核兵器禁止条約には批准しない。 アメリカの核の傘に依存しているからだ。
ローマ教皇は、政府が動かないなら、人々に行動せよと訴える。
現法王の理にかなった言動は、アルゼンチン出身の異色な経歴によるのかもしれない。 数年前に「ローマ法王になる日まで」という伝記映画(イタリア)がつくられているので、興味のある方は、レンタルDVDで。
日本では宗教といえば、多くの人が、オウム真理教みたいなのを思い浮かべ、抵抗感をもつ。 あるいは、宗教は自分の癒し的感覚で、戦争や迫害で苦しんでいる人、貧しい人の隣人になりなさいということなんて、説教臭いとあまり考えてみない。日本のキリスト教に関する考察は、橋爪大三郎×大澤真幸「ふしぎなキリスト教」講談社新書 がわかりやすい。
ローマ教皇の来日もまるで、ロック歌手が来日公演したようなもので、もう、忘れられているのかも知れない。
でも、中村哲さん殺害の事件だって、イスラム国(IS)が関与している可能性大だし、ロヒンギャ(ミャンマー)、シリア難民…、世界に宗教がらみの問題は多く、ニュースを理解するためには宗教、つまり人の心に向き合わなければならない。
宗教者は絵空事の理想を言ってりゃいいさ。ワシは無宗教だから、今の現実に合わせて生きるだけよ…というのは、ちょっと違うと思う。
ローマ教皇のメッセージ、自分に引き寄せて読んでみれば、ひょっとして、私にも「宗教心」というのがあるのかもしれないと思うかも?