先日の「廣瀬長江画伯からの手紙」の読み下しの続きです。
絵も毎日午前を
むだにいたし候為 その上
右之気分にてあまり捗
々しからず 今日は漸く
例のお七吉三の線
がきいたし候 御恩
借願候金子も漸く
尽きかけて 昨日あたり
由比方面の絵之金
参らずばなどゝ ちと
苦労の種とも相成候
絵も毎日午前をむだにいたし候為
その上右之気分にてあまり捗々しからず
今日は漸く例のお七吉三の線がきいたし候
御恩借願候金子も漸く尽きかけて
昨日あたり由比方面の絵之金参らずばなどゝ
ちと苦労の種とも相成候
絵を描かれている様子ですが、「体調が悪い為午前中は無駄にしてしまっているし、副作用などで気分もなかなか乗ってこない。」と現状を嘆いているようです。
お七と吉三は浄瑠璃作品の「八百屋お七」の事。
廣瀬長江画伯は江戸風俗の絵も多く書かれていましたので、八百屋お七と吉三の絵を描かれていたのかと思います。
ようやく線を描き始めたようです。
お借りしているお金も段々となくなってきて、由比で売った絵の代金がぼちぼち入ってくるのではなどと、なかなかお金の面での苦労もあります。
と、そんな状況を新井旅館三代目相原寛太郎に伝えています。
廣瀬長江画伯は、石井林響画伯や安田靫彦画伯と共に、特に相原寛太郎にかわいがられていましたので、こんなやり取りが日常であったのかと思います。
続きはまた後日。
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