今から110年前の大正2年6月27日に送られた「小林古径画伯からの手紙」の読み下しです。

 

一枚の巻紙ですが、今回も便宜上3回に分けさせていただきます。

 

まずは最初

 

 

拝啓

 

爾来ハ御不沙汰仕居候 昨冬御目ニ可ゝる筈ニ御坐候處小田原より直くと引返し候為御めに可ゝら須

遂其まゝに相成申候

さて御手紙玉はり 難有奉存候 御用ハ何ニ御坐候や 実は明月廣瀬君御宅へと参候由

其節一寸御邪魔仕度考へ居候 

近々小田原へ参度存居候 明月参館仕色ゝ御談承度 乍勝手古の度ハ不参ニ致度存候

 

拝啓

あれからご無沙汰してしまいました。

昨年の冬お目にかかるつもりでしたが、小田原よりすぐ引き返してしまいお会いできず、ついそのままになってしまいました。

さて、御手紙をいただきましてありがとうございます。

どのような御用事でしょうか?

実は来月広瀬(長江)君のお宅へ行きますので、その折にちょっと御邪魔したいと思っております。

近々小田原へ行く予定ですので、来月お邪魔した際にいろいろと御話をお聞かせいただきたく思っております。

勝手ではございますが、今回はお伺いいたしませんのでご了承ください。

 

とそんな内容かと。

 

 

明治45年1月に結婚された小林古径画伯は、その後3月下旬に新井旅館に滞在しています。

おそらくお嫁さんを相原寛太郎に紹介されたのかと思います。

その後大正元年の10月にも「御無沙汰しております」といった手紙が来ていますので、1年前の3月以来の御無沙汰だと思います。

 

大正元年の12月くらいに新井旅館に来るつもりだったのかと思いますが、小田原の安田靫彦画伯宅に立ち寄っただけで引き返してしまい会うことができなかったようです。

 

相原寛太郎から手紙が届き、「修善寺に来ないか?」のような手紙が届いたのかと思います。

手紙のお礼と、「どのような用事ですか?」の返事です。

 

来月(7月)に廣瀬長江画伯のところ(現在の静岡市清水区由比)へ行く予定なので、その際に御邪魔しようと思っていると書かれています。

また、近々小田原(安田靫彦・今村紫紅両画伯)に行く予定なので、その話を含めいろいろお話をお聞かせください。

そんなことですぐにお伺い出来ないとのお断りの手紙の様です。

 

続きはまた後日

 

 

 

 

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