日本では7月からレバ刺の提供が禁止される今日この頃、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。ユッケに続き、僕の好きな料理がまた一つ姿を消す。刺身・生食は日本が誇る文化の一つ。しかし、危険が付きまとうこともまた事実。ラオスでは規制が甘いので、生血サラダ、生エビ、アリの生卵など様々な危険料理が提供される。食中毒に中っても心当たりがたくさんありすぎて涙目。
5月28日と29日の2日間、パクセー郡小学5年生の一斉卒業・進学試験がありました。
会場校はソークアムヌワイ小学校。7つの学校から子どもたちが試験を受けにやってきます。
ラオスは留年制度があるため、この進学試験にパスできなければ中学生にはなれないのです。
会場校ソークアムヌワイ小学校。 おしゃべりもなく、みんな真剣。
300人以上の5年生が受験。 受験番号順に着席。緊張感たっぷり。
試験は『面談』・『身の回りの生活』・『算数』・『ラオス語』の全4科目。各科目、制限時間は90分。早く終われば80分で退室することが可能です。
開始の鐘が高らかになると、会場は静まり返り、何ともいえない緊張感に包まれます。
開始の鐘は、不発弾の信管抜いたもの。
ここにも不思議な緊張感があります。
僕が見学したのは2日目の算数とラオス語の試験。
試験体制は、さすがに一斉試験だけあって不正防止のための措置が徹底されていました。
その1…各教室には試験監督として2人の先生がつきます。しかもこの監督、みんなそれぞれの学校の校長先生たち。
その2…受験生は、教室に入る前に受験票を提示しなければならず、座る席も番号順。
その3…教室へは最低限の筆記用具しか持ち込むことが許されない。
その4…試験問題は、試験1時間前に教育局から封をされた状態で会場へ届けられ、5分前に試験監督に配布。開始の合図で開封。
その5…一人の試験監督が、問題を黒板に写し、もう一人が厳しくチェックする。
なんという徹底ぶり!素晴らしい!と、感心させられてしまいました。カンニングし放題なのかななんて思ってしまっていた自分を反省。
『算数』は、試験問題を監督の一人が黒板に写し、子どもたちは答案用紙にそれを写して答えを記入するという方式。比較的、基本的な問題が多く、得点が稼げますが、最後に難しい問題も用意されており、そう簡単には終わらせてはくれないというもの。
『ラオス語』は、一人の監督が単語や文章を読み上げ、子どもが聞き取ったものを答案用紙に書いたり、与えられた単語を使って文章を作るという方式。
算数の試験。字が小さく問題を写す ラオス語の試験。声調が多く、聞く
だけでも一苦労。みんな目がいい。 だけでも一苦労。みんな耳がいい。
不思議な現象を目にしたのは、試験開始から40分程が経った時のことでした。
僕の見ていた教室の一人の監督が駄菓子屋さんにコーヒーを買いに行ったかと思うと、外からもう一人の監督に「こっちで一緒に飲みましょう。」と呼ぶではありませんか。いやいや、今は試験中だから無理だよと思って見ていると、その監督、「いいわね。」と言って教室から出て行ってしまったではありませんか。
あれ?監督が二人ともいなくなった。。。
その時です。他の教室からも次々と試験監督たちが、何かしらの理由をつけて教室から出てくるではありませんか。不思議な現象。
子どもたちはというと、天から与えられたその時間を有効活用。さっきまで、微動だにせずに固まっていた子なんかは特に活発に動き始めたではありませんか。
監督が戻る頃には、ほとんどの子が回答を終えている。。。
あれだけ徹底していた試験体制だったのに。。。ラオス人の愛するスワイカン(助け合い)精神です。。。
さて、子どもたちが固まっていた算数の問題、全5節・17問中のいくつかを紹介します。
1-(4).12024000 の読み方を書きましょう。
2-(3).4つの辺の長さが等しく、向かい合った角の大きさが
等しい図形の名前を書きましょう。
3-(1).0.01を分数と百分率で書き表しましょう。
4-(3).(28日16時間 + 4日18時間)×6=........
5.ある商人が、テラピアを1kg当たり12,000キープで売っていま
した。25kg買うと、全体で65,000キープおまけしてくれました。
では、テラピア1kg当たりいくらで買ったことになるでしょうか?
う~ん、4-(3)以外は5年生にとってはわりと簡単だと思うんだけどなぁ。
5節目の問題を解けていたのは、ざっと見て約1割強といったところ。他の問題は、7割強がいいところでした。
余裕がありますなぁ。 よってすぐに回収され採点されます。
残念ながらラオス語の問題は聞き取れず、不明。なんせ僕のラオス語レベルは小学1年生レベルですから。。。留年確定。
ラオス語の試験では、子どもたちももう堂々としたもんです。隣の子の解答用紙を凝視しています。おいおい。
パクセー郡の卒業・進学試験通過率は例年98%前後。僕の学校は、近年100%を維持。
小学校で留年というのはあまりにも不憫です。禁止としておきながら黙認というのも仕方がないのかもしれません。
しかし、本当に可哀想だと思うならば、試験で慈悲を与えるのではなく、毎日の授業で救いを与えるべきなのです。そここそを大事にしてほしい。僕は訴えつづけます。
今年の卒業生44人。担任の一人が突然昇進していなくなってしまったため、途中から2クラスの合併となり、狭い旧校舎の教室でも毎日がんばりました。
歌が大好きなシーパンドーンちゃんは、念願の歌手になれるといいな。
ガキ大将のソムバットくんは、人懐っこい笑顔が最高なんです。
勉強が苦手なカイニャコーンくんは、軍人さんになって頑張ると言ってたなぁ。
みんな中学校へ行っても、がんばってほしいと願うばかりです。
卒業式は試験結果が出てからの9月初め。それまで3ヶ月のお休みです。勉強したこと忘れないでほしいなぁ。。。