物価が日に日に上昇し、10,000kipが100円を切っている今日この頃、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。特にガソリンが高い。トゥクトゥク(バイクタクシー)の値段交渉をするとガソリンが高いからと言って、高額をふっかけられる。こっちはラオスに住んで長いんだから値段の相場くらいわかると言うと、しぶしぶ安くしてくれる。たまに最初から異常に安くしてくれることがある。ラオス人と間違えられているだけだから涙目。


 5月7日。この日は、お隣のサナムサイ中学校へ授業視察に行ってきました。

 駄菓子屋のおばちゃんが校長先生に僕を紹介してくれての招待となりました。

 なぜ駄菓子屋のおばちゃんかというと、このおばちゃん、元・県教育局の重鎮。引退して子どもたちに駄菓子を売っている粋なおばちゃん。まぁ、その話はまた後日。


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 サナムサイ中学校。自転車で5分   中学3年生の数学の授業風景。  

 9月から卒業生たちがお世話に    みんな大きくて教室が狭く感じます。

 なります。                 内容もかなり高度。


 サナムサイ中学校には僕の学校を含め、3つの小学校の卒業生たちが通います。中1~4年生までの完全校(全学年が揃っている学校)です。日本の小6~中3にあたります。中学校が4年制になったのはごく最近。教科書も指導書も整えられないまま、突然の4年制導入に大混乱でしたが、最近はしっかり形になっています。


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 中1の授業風景。旧校舎なので     5月1日の嵐で屋根が飛んで

 黒板の向こうがすけすけです。      しまいました。この日は幸い休日。

 けど、これが結構いい。          怪我人はなし。築35年の古校舎。


 全学年の数学と英語の授業を視察させてもらうことができました。

 英会話はとても積極的。日本も見習わないと。しかし、語尾をはっきり発音しないというラオス語の特徴があだとなり、伝わりにくいことが多いのが残念。

 数学は内容が非常に高度。しかし、高度すぎるのです。日本の高校レベルで学ぶ内容が突然出てきたりします。また、指導内容、領域の系統性が弱く、積み重ねが難しくなってしまっています。つまり簡単に言うと、教科書が悪い。

 そのため、既習事項を余程しっかり理解している生徒でなければ授業ついていくことができません。小学校からずっと続いている積み重ね。中1くらいだと、まだみんな授業に集中していますが、中3、中4ともなると理解できるのは2、3割といったところでした。あるクラスでは、男子の全員がおしゃべり。真面目であることが冷やかしの対象になってしまうのでしょうか。中学生は理解度が授業態度になって顕著に表れることがわかります。わからない生徒はおしゃべりをしているか携帯で遊んでいます。


 取り返しようがないのも事実。復習の機会は非常に少なく、一度つまずくとどんどんおいて行かれる。ラオスでは、学校へ来るチャンスにも個人差が大きい。だから、一人ひとりへの支援は、きりがないので一切無し。自力でついてこいということ。子どもを崖から落とすライオン。登ってこれなければそれまで。できなければ留年。それは可哀想だからカンニングを黙認。それが慈悲であると。。。カンニングの対象の生徒を伸ばすことで、全体の「点数」の底上げが可能となる。先進国では、それは「エリート教育」と呼ばれる。意図的でないにしても、この国ではこれが義務教育の現実となってしまう。国益が優先。底上げは豊かさとゆとりがなければできないのか。

 まずは、子どもたち全員が勉学に集中できる環境整備がこの国の最優先課題となるべきである。田植えや水汲みで、子どもの手でさえ必要になる生活であるのもわかる。しかし、子どもたちにとって「教育を受けることができる」ということは、守られなければならない権利。まだ小さな子どもに学校へ行くより働けと言う親たちの意識改革もまた課題である。

 

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 日本の支援で1校舎(5教室)を建設中。

 支援が入らない大多数の学校は、家庭

 から納められる学費が建設費にあてられます。


 成長途中の義務教育の末端を見て、いろいろ考えさせられる一日となりました。