史上かつてないラインナップと帝王キプチョゲの5年ぶりの参戦で話題沸騰し続ける今年のロンドンマラソン。開催まで2ヶ月もあるが注目選手をサラッと紹介。天候と展開によっては1分台決着も期待したいところ
1、エリウド・キプチョゲ
言わずと知れたマラソン界の神
その桁違いの偉業の数々についての力説は以前の投稿に委ねるとして、取り敢えず最注目の選手。
ロンドンマラソンは過去5回の出場があり内4回優勝とコースは知り尽くしていると言ってもいい。前述の通り5年ぶりの出場な上昨シーズンは大きな騒動の渦中に放り込まれて散々な年となってしまったが、しっかり練習を積めている様子なので期待は大。このレースを制してこそ帝王復活をアピールできると言える。
2、ケネニサ・ベケレ
不滅の長距離皇帝
マラソンにおいても初マラソンパリ優勝の他、ベルリンを2度制した実績がある。持ちタイムも現時点で世界歴代3位の2:01:41というビッグタイムホルダー実績はある。
…とは言え、マラソン転向後のベケレの戦績は基本的に辛酸を舐めている事の方が多く、直近でもパリ五輪やバレンシアを2桁順位で終えている。昨年のロンドンは久しぶりに善戦して2位となったが、バレンシアを見る限りいよいよ老いの影響が大きくなってきた印象。
しかしながら基本的に長距離界有数の偉人であるため出場してくれるだけでも熱いと思わせてくれるし、いつ1発かましてくれるか分からないと言う楽しみもあるので前回大会に続いて善戦してくれるかも。
3、タミラト・トラ
屈指のタフネスを誇るパリ五輪の覇者
元々タイム以上にタフな選手という印象だったが、まるで箱根駅伝のような激烈なアップダウンが空前絶後のクレームを喰らったパリ五輪のマラソンコースをあれだけアクティブに走って大会記録で圧勝したのは驚きだった。これが元々補欠だったのだからエチオピア陸連も見る目がない。
オレゴン世界陸上やニューヨークシティでもそうだったが、1度でもレースの主導権を握り出すと手に負えないくらい強いタイプ。その時のトラを止められたのは今は亡きバランスブレイカーのキプタムくらいのものだったと思う。実力的にも間違いなく1分台で走れる力があると考えていい。ただ、負ける時はしっかり負ける。
4、セバスチャン・サウェ
現ハーフ界最強の男(たぶん)
58分1桁のタイムを量産して歴代トップ10に入りつつ、この2年でプラチナラベル級のハーフを4レース制している。後述するキプリモの事も1度破った事がある。
マラソン戦績については昨年末のバレンシアでデビューを飾り、2:02:05という初マラソン歴代2位&世界歴代5位の素晴らしいタイムで優勝。しかも勝ち方が一度飛び出したマテイコ&ゲレタを無理に追わず、5km以上かけてじっくり追い上げて追い付いた後に様子見して一気に突き放すというまるでベテランのような見事なレースを演じての優勝だった。
実は今大会で個人的に最も注目している選手で今後世界記録や新しいマラソン界の王者の地位に立つ選手候補だと考えている選手。現時点で上述の3選手とどこまでやり合えるか非常に楽しみである。
5、ジェイコブ・キプリモ
ハーフマラソン界の巨星
10km平均26:52という驚天動地のハイペースをほぼ単独で刻み続けて従来の世界記録帯を大きく突き破った。野村昭夢の箱根6区より速いは意味が分からない。単純比較は出来ないがフルマラソン2時間切りが大体10km28:20ペースなので、条件がハマれば2時間切りしてしまいそうな選手だが…
10000mの実績など見ると競り合うより1人でペースを刻んでいく方が好きなタイプのようで、タイムこそ突出しているが実はハーフでもそれなりに負けはある。逆にバルセロナハーフのように最初の数kmを『どう考えても無理だろ』くらいのペースで無理やり千切って単独走に持ち込んだりすると、初マラソンにして世界新記録&WMMシリーズ初タイトルと言う空前のデビュー戦が飾れるかも知れない。流石にそこまでの展開を期待してる訳ではないが…
6、アレクサンダー・ムティソ
実業団界最強のロード魔人
以前5000mで世界陸上2大会連続表彰台のジェイコブ・クロップのGMO参戦がかなり話題となったが、個人的にムティソは実業団世界でクロップと対を成すほどの猛者だと思う。実業団世界でハーフ57分台&マラソン2時間3分台前半を達成、どころかそれに追随を許される記録帯にある選手すらおそらく存在しない。オマケに昨年はWMMシリーズでもタイトル獲得と言う実業団ではサムエル・ワンジル以来の偉業もやってのけた。
まだハーフとフルでどっち付かずの印象が強いが、マラソンの五輪代表に選出されたと言うことは現在のケニアのマラソン界でトップ級と正式に認められた証拠でもある。その五輪代表を決定付けたロンドンで連覇を狙う形となる。
7、アブディ・ナゲーエ
数少ないケニア・エチオピア戦線の対抗者
東京五輪銀メダルが特に印象深い人が多いと思うが、自己ベストでも2:04:45を持っている。ここまで紹介してきた選手達に比べれば持ちタイムのインパクトは薄いが、ニューヨークシティマラソンでも優勝経験があるなどタフが売りの選手でもある。
ただ最近の戦績を俯瞰して見ると必ずしも安定はしていない感じ。特にパリ五輪のような度を超えたハイペースな仕掛けが幾度にも渡って繰り返されるような展開だとちょっと渋くなる印象がある。逆に耐久レースになれば一気にチャンスが巡ってきそう。






