今年も熱いよ100m。無論他種目もな!



今週末に開催を控えた世界選手権、その男子100mの注目選手各位を解説しようって言う記事。最強のレジェンドであるボルトの去就後は中々判然としない時代が続いたが、ニューヒーローたるライルズの参戦が再加熱を後押しし、同じアメリカ諸勢力は勿論、それまで消沈気味だったジャマイカも急速に息を吹き返した。今年はその空気がより一層高まりを見せている印象で、そこに幾人かのアフリカ&欧州勢が加わろうとしている感じと言えるだろうか。




1.【ダイヤモンドリーグ他、各GP】

 有力所の状態を知る最も手っ取り早い手段が5〜8月末まで開催されるダイヤモンドリーグシリーズ。今シーズンの男子100mでは主に以下の3選手が戦線をリードした。


【アカニ・シンビネ🇿🇦】


【オブリク・セヴィル🇯🇲】


【キシェーン・トンプソン🇯🇲】


 シリーズ序盤(4.5月)の廈門・上海・ラバト戦の3レースはシンビネが何も快勝し、上海ではシーズン初戦のトンプソンを撃破。その後優勝は無いが最終チューリッヒ戦も僅差の2位、SBも9.90と昨年から好調をキープしている。

 この間はアフリカ勢の動きが顕著で、オムルワ(9.77A🇰🇪)、エセメ(9.96🇨🇲)、テボゴ(9.86🇧🇼)辺りが積極的にダイヤモンドリーグを転戦し上位入りを繰り返した他、サミヌ(🇬🇭)が9.86・9.84と立て続けにビックタイムを叩き出した。


 一方7月以降になるとジャマイカ勢の動きが活発化し始め、トンプソンがユージーン・シレジアの2レースを何も9秒8台の快記録で制した。特にシレジアは後述するアメリカ勢9秒7台軍団や前述のシンビネを薙ぎ倒しての快勝である。ロンドン・ローザンヌ戦ではセヴィルが圧倒的な走りを披露し2レース共にライルズに快勝。ローザンヌでは強い雨に打たれた肌寒い向かい風と言うコンディションで9.86で走ると言う驚異的な仕上がり具合を見せる。



【各地の選手権情勢】





 まずアメリカではワイルドカードを持つライルズ不在の全米選手権が行われ、本命級の1人であったケニス・ベドナレクが9.79の自己新で初優勝、そのすぐ後ろではリンジーとマッカルムと言う新鋭2人がそれぞれ9.82&9.83という好記録で表彰台に上がり世界選手権出場権を獲得、何とブロメルとコールマンが9秒8台で走って押し負けると言う異常事態が起こる。ライルズはライルズで200mを好記録で制した後に春先の出遅れを取り戻そうとするようにダイヤモンドリーグを転戦、シレジアで9.90まで状態を戻す反面ジャマイカ勢の快走に押され、遂に1勝も挙げるには至らなかった。




 欧州では、前回ブダペスト大会の銅メダリストであるザーネル・ヒューズ(🇬🇧)が国内選手権快勝後、ダイヤモンドリーグロンドン大会にて9.91までSBを更新。



 また南アフリカでも、19歳のワラザが母国の大先輩シンビネを追いかけて9.94のU20世界歴代2位の走りを見せて同じく世界選手権の切符を獲得。同国には昨年9.86Aを叩き出したリチャードソンも控える。



 更に南米では、昨年永らく同エリアで達成されていなかった9秒台の記念すべき第一号となったエリック・カルドソ(🇧🇷)が、一時期奪われていたエリア記録を9.93の自己ベストを以て奪い返した。追い風参考含めてこれが3回目の9秒台である。





【全体の展望】


 優勝争いは


🇯🇲⇨トンプソン、セヴィル

🇺🇸⇨ライルズ、ベドナレク


が目下の下馬評と言ったところであり、この内2人が想定を下回る事でシンビネ(🇿🇦)、サミヌ(🇬🇭)、テボゴ(🇧🇼)、ヒューズ(🇬🇧)、及びリンジー&マッカルム(🇺🇸)辺りにメダル獲得のチャンスが回ってくるかと言うところ。自己ベストや戦績を眺めてみると決勝カードはこの内サミヌ、リンジー、マッカルムを除いた7人はかなり高い確率で揃う公算が高い。

 強いて言えばテボゴが100mの戦績で今シーズン中々上手くいってない様子なのでそこが気になる点だが、得意の200mは概ね平常運転なので恐らくは100mも…と言う予想。

 また、度外視した3人は基本的に今シーズン乗って叩き出した9秒8台前半と言う側面があるので、世界選手権と言う大舞台での再現性がどの程度あるのかと言うのが評価を不透明にしている要因である。その意味で、日本人にも僅かながら決勝のチャンスが残っている。