今回は完全に私の趣味日記(備忘録)です。
もう10年以上前からになります。
毎年、行田で行われるNPO法人ぎょうだ足袋蔵ネットワーク主催の「ぎょうだ蔵めぐり まちあるき」に参加していました。
最初は ”たまたま” 町を周遊する ”本物の” ボンネットバスを見かけ、その発着所を突き止めて休憩時間に乗り込み、運転手さんに話しかけたのがキッカケです。
それは、人生で初めて見たボンネットバスでした。
日産ディーゼル、U690の元備北バス。
可愛らしくも格好良くもある、愛嬌のある顔つき。
私がバスの運転手という事もあって話も弾み、「じゃあ走ろう!」と特別運行して下さいました。
「いいんですか!?」
と言えば、
「俺の自家用車なんだからいいんだよ!」
と、豪快で楽し気な小嶋さんに惚れました(笑
走り出してよく見ていると、自然とやっているダブルクラッチ。
聞いてはいたけど、実際に操作を見るのは初めて。必死にハンドルを回す重ステも初めて。
その他に今のバスとは全く違い、豪快なエンジン音も板バネの激しい揺れも、全てが新鮮です。
それからボンネットバスに乗車して町を周遊しつつ、スタンプラリーを押して周り、イベント内の買い物をする。のが年一回の楽しみになりました。
私は既にバスの運転手でしたが、子供が初めて乗ったバスが小嶋さんのボンネットバスだったりします(笑
そんな年一回の楽しみでしたが、小嶋さんから「今度遊びにおいでよ」という事で、遊びに行きました。
出てきたのは、ボンネットトラック。
「ナンバー付いていないから敷地内を走ってみな」
と。
意を決して運転してみると、ハンドルが重くて回らない。
一生懸命回しても遅れ遅れで、自分の意図するカーブを描けない(笑
敷地内だから速度を出さないとは言え、ブレーキが硬い!つい遅れてグッと踏むと、ガクッ!と止まって情けない。
と、運転は下手くそでしたが、泥沼のような所でもガンガン進んでいく力強さがありました。
今のバスなら泥にハマって終わりでしょう。エンジンも唸るだけで力はありません。
この豪快な音に力強さ、とても格好良いのです。
それでも敷地内を行ったり来たり。
映像では悪路や隘路をゆく姿を見た事がありますが、実際に体験してみると「この時代の運転手は凄いなぁ…」と感心しきり。
今までそんな付き合いがありましたが、突然「ダブルブッキングしちゃったから運転を頼めない?」との連絡があり快諾。
という事で、茨城まで練習に行きました。
「まずは敷地内で。」と思いきや、いきなり路上で運転を交代。
パワステ付、シンクロ付きなので、ダブルクラッチは不要という初心者向けでしたが…。
それでも普段運転してるバスとはえらい違いです。
特にブレーキ、普段のエアブレーキは少し踏むぐらいで、かなり強い力がかかりますが、こちらは結構強く踏んでも想像以上にかかりません。
「もっと!」と言われても、どうしても普段の意識があり強く踏めません。
ハンドル操作も、普段運転席よりも後ろにある前輪が、今は前にあります。
その為、いつもの感覚でハンドルを切ると、遅れてしまい間に合いません。
「これは大変な事を請け負ってしまったなぁ…」
とビビリつつ、やるしかないよね!と引き続き練習。
結局、小嶋さんの「慣れだよ慣れ!バスじゃなくて乗用車を運転する感覚だよ!」との言葉通りであったことと、改めてバスと思わない事でそれなりに乗れるようになりました。
それでも「ぶつけたら困るから狭い道は勘弁してくれ」と、それだけ伝えて…(笑
絶対に事故を起こさないため、本運転の前に実際走る可能性のある道を何度も訓練しました。
所有者の方だけでなく、事故があればイベントの存続にも関わりますから、絶対に事故を起こさない。過信しない。無理しない。その気持ちで臨みます。
そして、いよいよイベント開催。
二日間、多くの方にご乗車頂きました。
「例年より短く、狭い道も行かず残念」という声も正直頂きました。
もう「代打なので…」と、謝るしかありません。
それでも、色々と声をかけて下さる方が多く、特に私が現役のバス運転手だからこそ、「今のバスとの違い」を聞いてくる方が多かったですね。
ハンドル操作やクラッチ、ミラーの見え方などなど、多くの方が熱心に聞いてくださいました。
交代で記念写真を撮る方に、「写真撮りますよ~」と声をかけ、いつも一人ずつのところを二人写りこんでシャッターを切る。「二人で写るなんて久しぶりね」なんて声も。
沢山の笑顔が見れて良かったなぁと思っています。
イベントを終えて小休止。一人で過ごす車内は少し寂し気ですね。
このような車両を運転するだけでも貴重な経験ですが、実際にお客さんを乗せて運行するという、更に貴重な経験をする事ができました。
オーナーの小嶋さん、イベント主催の方々、そしてダブルブッキングに感謝しきりです(笑