「悪人」

あんまり期待しないで観始めたけど、次第に釘づけになっていた。
なので映画のあと、すぐ小説も上下巻読破した。
妻夫木くん演じる祐一は、金髪で肉体労働者で人殺し。
幼いころ実の母に置き去りにされ、
祖父母に育てられるという複雑な家庭環境。

寡黙で何を考えているかわからない。
ヘルスの女に夢中になるし
ある日出会い系で知り合った女を殺してしまう。
この映画はずっと心に訴えかけてくる。
本当の悪人は罪にも問われず、世間にのうのうとはびこっていることを。
だまされてはいけないことを。
虚飾に満ちた人たちの、表面上の優しさ、見た目の良さに、私たちは惑わされてはいないだろうか。
映画のなかでそれに気づいた時、
祐一の愚鈍なまでの誠実さや不器用な愛情表現に胸を打たれる。
土木作業で真黒になって働き
帰宅したら祖父の介護に明け暮れる祐一の毎日は
いまどきの若者とは程遠い地味なもの。
女性との付き合いどころか、
人との接し方すらよくわかっていない青年のひたむきな態度は
観る者がいとしくさえ感じてしまう。
祐一だけではない。
この映画にはたくさんの「人を思うこころ」が描かれている。
殺された女性の父親が殺人現場で娘に話しかけるところ。
祐一の祖母が、大切にしていたスカーフを殺人現場のガードレールにそっと結びつけるところ。
映画にはなかったけど、
小説で祐一が実母に金をせびる場面もきゅんとしますね。
息子を捨てた母が、自分を責めるのを見て
祐一は「悪人は一人だけでよか」とひそかに思うのです。
それでわざと母から小額の金をせびり、
わざと恨まれるのです。
母親の心の重荷を軽くするために…。
本当の美しさは、人の目にさらされていないところ、
安易に気づかれないところに存在するんだなと
あらためて感じましたね。
あ~。よかったよかった。
ところでみなさん。
小説と映画は、別の作品だって気づいていますか?
映画は役者や情景描写が限定されてしまっている分
脚本や監督の意図で、原作の特定の部分が誇張されたり
省かれたりします。
厳密にいうと、すでに原作者の作品ではないんですよね。
これはこれで楽しめばいいと思います。
一方で小説は自分で登場人物や情景を創造しながら読むことができる。
ある意味、作者とともに読み手自身も物語の制作に携わっていると言える。
だから、昔読んだ作品が、違った風に心に響くことってよくあるんです。
いい作品は残しておいて、
数年たってから読み直してみると、違う部分に感動したり
以前とは異なった感想を持つという
深みのあるものなのです。

あんまり期待しないで観始めたけど、次第に釘づけになっていた。
なので映画のあと、すぐ小説も上下巻読破した。
妻夫木くん演じる祐一は、金髪で肉体労働者で人殺し。
幼いころ実の母に置き去りにされ、
祖父母に育てられるという複雑な家庭環境。

寡黙で何を考えているかわからない。
ヘルスの女に夢中になるし
ある日出会い系で知り合った女を殺してしまう。
この映画はずっと心に訴えかけてくる。
本当の悪人は罪にも問われず、世間にのうのうとはびこっていることを。
だまされてはいけないことを。
虚飾に満ちた人たちの、表面上の優しさ、見た目の良さに、私たちは惑わされてはいないだろうか。
映画のなかでそれに気づいた時、
祐一の愚鈍なまでの誠実さや不器用な愛情表現に胸を打たれる。
土木作業で真黒になって働き
帰宅したら祖父の介護に明け暮れる祐一の毎日は
いまどきの若者とは程遠い地味なもの。
女性との付き合いどころか、
人との接し方すらよくわかっていない青年のひたむきな態度は
観る者がいとしくさえ感じてしまう。
祐一だけではない。
この映画にはたくさんの「人を思うこころ」が描かれている。
殺された女性の父親が殺人現場で娘に話しかけるところ。
祐一の祖母が、大切にしていたスカーフを殺人現場のガードレールにそっと結びつけるところ。
映画にはなかったけど、
小説で祐一が実母に金をせびる場面もきゅんとしますね。
息子を捨てた母が、自分を責めるのを見て
祐一は「悪人は一人だけでよか」とひそかに思うのです。
それでわざと母から小額の金をせびり、
わざと恨まれるのです。
母親の心の重荷を軽くするために…。
本当の美しさは、人の目にさらされていないところ、
安易に気づかれないところに存在するんだなと
あらためて感じましたね。
あ~。よかったよかった。
ところでみなさん。
小説と映画は、別の作品だって気づいていますか?
映画は役者や情景描写が限定されてしまっている分
脚本や監督の意図で、原作の特定の部分が誇張されたり
省かれたりします。
厳密にいうと、すでに原作者の作品ではないんですよね。
これはこれで楽しめばいいと思います。
一方で小説は自分で登場人物や情景を創造しながら読むことができる。
ある意味、作者とともに読み手自身も物語の制作に携わっていると言える。
だから、昔読んだ作品が、違った風に心に響くことってよくあるんです。
いい作品は残しておいて、
数年たってから読み直してみると、違う部分に感動したり
以前とは異なった感想を持つという
深みのあるものなのです。





