
2010年製作の中国映画。
はっきり言って地味な映画です。
派手な演出や音楽があるわけではありません。
だけど何なのでしょう。
遠赤外線のように芯からじんわりとくる暖かさは。
余命いくばくもない父親は、日々衰えていく自分の身体のことよりも
残される息子のことが心配でならないのでした。
息子は自閉症という障害を持っているのです。
それはとても特徴的に、だがとても愛らしく演じられています。
父の勤める水族館で、魚たちと同じように自由に泳ぎながら
父の仕事が終わるのを待っている息子。
息子の純粋さと父親を慕う気持ちが、幻想的に描かれています。
魚好きの人は、こういったシーンだけでも十分楽しめるでしょう。
アクションスターの大御所のジェット・リーが
今回は一切のアクションシーンを行わずに
こよなく息子を愛し、勤勉で誠実な父親の姿をよく演じていました。
父が突然いなくなってしまえば、どれほど息子に驚きと悲しみを与えるだろうと、
考えに考えた父親は、身体の痛みを押して
「父さんは亀だ、父さんは亀なんだよ」と
自作の亀の甲羅をつけて息子と泳ぐのです。
「父さんに会いたくなったら、いつでも海に潜れば会えるんだよ」と。
滑稽なまでの息子への思いは、
観ているものの感情をあふれださせます。
このシーンで私には二つの思いがシンクロしました。
ひとつは、自分の父の姿と。
自分の身体のつらさを脇へ置いて、子どもを思う姿に
「お父さん、無理しないで」と何度がつぶやいてしまい、はっとしました。
それはまさしく私の父が
苦しい呼吸で生きながらえて私を待ってくれていたのと同じだったからです。
もうひとつは、
私が自分の娘を思ってしたことを彷彿させました。
次女が生まれる前の長女の不安をなんとか軽減させたいと
大きなお腹を抱えて、絵本を作ったことを思い出しました。
お産になったら、私が数日いなくなること、
これまで我が家のアイドル的存在で、一身に注目を集めていた長女が
次女にその座を譲らねばならなくなること。
そして、家族が増えても母は変わらぬ思いを長女に持ち続けているということ。
人の心の奥底にあって、自分でも気付かない人を思う優しい気持ちや、
もう忘れかけていた暖かい思い出を
この映画は思い起こさせてくれるのでした。
エンディングで
父の葬式後、息子が海に潜り大きな海亀に親しそうに抱きつくシーンでは
涙が止まりません。
魚が好きな子どもさんのいる家庭や
夫が中国人だ、という方には
みなさんで楽しめる一本だと思います(^v^)












