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無線室

無線通信、特に受信に関する考察、実験、感想などを‥‥。

 前回東急1000系1500番台に搭載された列車無線機を取り上げました。今回、改めて東急の列車無線がデジタル化する可能性を考えていきます。

 実は、デジタル化で重要なポイントがあるのです。それは、デジタル化の際に列車無線アンテナが増設されるということ。デジタル化に伴って、より電波を安定的に送受信するため、空間ダイバーシティという方法を用います。
 アンテナを2本設置し、感度が良好な方のアンテナで送受信するものです。工学書では、ダイバーシティが「ダイバーシチ」と書かれることがあります。
 JR東日本でデジタル列車無線区間を走行する車両のうち、2006年以降に製造されたものには屋根にアンテナを2本設置。それ以前の車両には、運転室の車掌側にコーリニアアンテナを装備して対応しました。これは、現在デジタル列車無線機の設置が進められているJR西日本も同様です。
 一方、同じくデジタル列車無線機の搭載が進行中の小田急はどうでしょう? 東急と同じNEC製のシステムを導入していますが、やはり運転室の車掌側にコーリニアアンテナを取り付けています。このことから、ダイバーシティを使用するためにアンテナを増設するということは、デジタル化の確たる証拠といえるのです。

 いよいよ、肝心の東急1000系1500番台です。まだ現地調査に行けてないのでネット上の画像で判断するだけになりますが、運転室の車掌側にはコーリニアアンテナらしきものがないように見えます。
 コーリニアアンテナが運転室にないのが間違いなければ、東急のデジタル化はまだ先ということが言えそうです。やはり、アナログ専用機の生産が中止となり、現行機種がデジタル対応機のみで選択の余地がなかったのかもしれません。デジタル対応機にしておけば、今すぐではなくてもいつでもデジタル化できるというメーカーの提案があった可能性がありそうです。

 当分の間、東急はアナログで安泰ではないでしょうか。
 本日発売の鉄道雑誌で、東急池上線・多摩川線用に投入された1500系1000系1500番代が紹介されています。1500系1000系1500番代は、東京メトロ日比谷線との直通中止で余剰になった1000系を改造した車両です。
 この記事で掲載された写真に、衝撃的なものが写っていました。それは、運転台の列車無線受話器が、小田急で現在取り付けが進められているデジタル列車無線用受話器と同型だったのです。

 ここで注目なのは、1500系1000系1500番代に装備されたということ。1500系1000系1500番代は池上線・多摩川線でのみ営業運転されるため、他路線への直通がありません。
 もし東横線や田園都市線、目黒線の車両の無線機を置き換えるとなると、直通先の各社にまで影響が及びます。特に、東横線は東京メトロ副都心線を介した相互直通運転開始が1年ほど前と日が浅く、直通運転のために交換された無線機の償却はまだまだ先の話です。となれば、デジタル化のために再び無線機を交換するのは無駄な投資となってしまうでしょう。
 一方、池上線・多摩川線の車両はこの2路線内だけで完結するので、他社との調整の必要はありません。その気になれば、短期間のうちに無線機の交換だって行うことも可能です。

 もしかしたら、池上線・多摩川線が真っ先にデジタル化するのかもしれません。5月15日に発表された2014年度の鉄軌道設備投資計画には明記されていませんが、近い将来何らかの動きがありそうです。
 今後の動静に目が離せません。
 東京メトロは、4月21日に「列車無線用ケーブル設置に伴う銀座線の輸送障害について」と題したニュースリリースを発表しました。

 それによると、4月19日と21日の早朝、末広町―神田間に新設した列車無線ケーブルの一部が定められた範囲よりも車両側に設置されていたことが判明。そのケーブルの撤去を行ったため、始発から運転を見合わせたとしています。すなわち、列車無線ケーブルが建築限界に抵触していたということになるのです。
 ここで気になるのが、「新設置した列車無線ケーブル」というもの。銀座線は現在、指令側185.0kHz、列車側155.0kHz、非常発報135.0kHzの誘導無線を使用しています。文字だけの情報では「誘導無線の通信線の交換か?」とも思えてしまいますが、NHKニュース映像を見る限り、LCXを敷設しているのです(画像はニュース映像より)。


 現在、銀座線は車両の置き換えを実施中。従来の01系から、2011年に登場した1000系へ更新しています。
 3月27日に発表された2014年度事業計画では、銀座線へのホームドア設置を計画。車両を1000系に統一した上で、ホームドアの導入を図るようです。
 そうなってくると、事業計画に記述はありませんが将来的にワンマン運転も視野に入れている可能性があります。となれば、南北線や丸ノ内線、副都心線のように列車無線でデータ通信を行うことが予想されるのです。

 実は、1000系の登場を紹介した一部鉄道雑誌の諸元表に、「空間波無線:準備工事」との記述がありました。この件に関して、本ブログでは以前にも取り上げています。どうも、このときの予想が現実味を帯びそうなのです。
 データ通信は、丸ノ内線や副都心線のように誘導無線で行うのではなく、V/UHFを使ったLCXで行うと考えれば、今回のミスで明らかになった新設の列車無線ケーブルがどういう意味をなすのか明らかでしょう。しかも、総務省は「周波数再編アクションプラン(平成25年10月改定版)」で「150MHz帯を使用する列車無線については、(中略)長波帯を使用する誘導無線からの移行需要があることから、(中略)狭帯域デジタル化の実施による高度化を進める」とデジタル化推進に舵を切りました。
 従って、事業計画には具体的な記載はないものの、これらの状況証拠から鑑みて銀座線の列車無線を誘導無線からLCXによるデジタル化を行っているとみてよさそうです。そして、銀座線を皮切りに誘導無線を使っている各線のデジタル化も進んでしまうかもしれません。

 あくまで予想なのでどうなるかわかりませんが、誘導無線のデジタル化は仙台市地下鉄で実績があります。事実、誘導無線はインバーターなどからのノイズで通話がしにくくなっているようです。
 そう簡単に誘導無線の灯が消えることはないでしょう。でも、覚悟はしないといけないのかもしれません。
 少し前の話題になりますが、nanapiに「もはや一括りでは表せない…多種多様に専門分化した36種類の『◯◯鉄』まとめ」という記事が掲載されました。昨今の細分化された鉄道趣味を、「◯◯鉄」として36種類にまとめたものです。
 ここでの36種類は、以下の通りとなっています。
  1. 撮り鉄
  2. 音響鉄・録り鉄(とりてつ)
  3. 乗り鉄
  4. 降り鉄
  5. 受信鉄
  6. 車両鉄
  7. 模型鉄
  8. 蒐集鉄
  9. 押し鉄
  1. スジ鉄・時刻表鉄
  2. 駅鉄
  3. 廃線鉄
  4. 配線鉄
  5. 線路鉄
  6. 設備鉄
  7. 運転鉄
  8. 保安鉄
  9. 歴史鉄
  1. 描き鉄
  2. 架空鉄
  3. 駅弁鉄
  4. チビ鉄
  5. ママ鉄
  6. 会社鉄
  7. 海外鉄
  8. 法規鉄
  9. 葬式鉄
  1. 軍事鉄
  2. 哲学鉄
  3. 鉄警鉄
  4. SL鉄
  5. ゲーム鉄
  6. 寝鉄
  7. 駅寝鉄
  8. 盗り鉄(とりてつ)
  9. クズ鉄
 この中で、鉄道無線の受信を「受信鉄」として紹介しています。しかも、気になるのはその順位。何と、5番目に取り上げられているのです。
 単純に人気順ではないと思われますが、どういうわけか上位に来ています。もちろん、最後の2つは人としてもってのほかですが(苦笑)。
 鉄道趣味の中ではディープ度が高いとされる鉄道無線の受信を最初の方に持ってくるあたり、作成者本人や周囲でワッチしている人がいるのかもしれません。そうでなくても、鉄道無線の受信がメジャーになりつつあるのではないかとも考えてしまいます。
 なお、ここでは「受信鉄」という呼び方ですが、ほかにも「無線鉄」や、三才ブックスの『鉄道無線を聞いてみよう』では「聞き鉄」など、いくつかの呼び方があるようです。この記事では、最後に「命名分類法にも種類があるので、一概にここでの名称が当てはまるとは限りません」という注釈がついています。

 いずれにせよ、鉄道無線の受信が鉄道趣味の1つとして認知されてきているのは間違いないでしょう。
 前回お伝えした読売新聞の誤訳ですが、朝日新聞でも3月17日付で同じような誤訳で記事を掲載していました。
操縦士自ら通信装置切る? マレーシア機、着陸の可能性

 8日未明に消息を絶ったマレーシア航空機の通信装置の一部が、管制とパイロットとの最後の交信よりも前に切られていたことが16日わかった。交信でパイロットは異変が起きたことを管制に伝えておらず、マレーシア政府は、通信装置を故意に切った人物がパイロット本人だった可能性もあるとみて調べている。

16日記者会見した同国のヒシャムディン国防相兼運輸相代理によると、この通信装置は飛行中の機体の状態を航空会社に伝えるもので、管制がパイロットと最後に交信するより前の午前1時7分に切られていた。

 無線による交信では、空域がマレーシアからベトナムへと変わることを管制が伝えたところ、パイロットからは「了解。お休み」との返答があった。この際、機器に異常が起きたという話はなかったという。
  (後略)
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 やはり、朝日新聞内部でも原文の「Alright, good night」を直訳してしまいました。この記事そのものは配信会社からの提供ではありませんが、配信会社で「お休み」と訳してしまっているのかもしれません。
 誤訳のおかげで、読者の受け止め方が変わってしまう可能性もあります。そうなってしまうと、真相を知りたい読者に間違った情報を与えかねません。適切な翻訳に努めてほしいものです。
 3月8日に、クアラルンプールから飛び立ったマレーシア航空370便北京行きが行方不明になりました。今日で6日目を迎えますが、いまだに発見に至る手がかりすらつかめていません。

 そんな中、読売新聞は中国のニュースサイトを引用する形で、3月12日にこのような記事を掲載しました。
了解、おやすみ…不明機パイロット最後の交信

 中国紙「新京報」(電子版)などによると、マレーシア民間航空局の当局者は12日、消息を絶ったマレーシア航空機の中国人乗客の家族らと北京で対面し、同機と地上管制との最後の交信内容を公開した。

 同機が消息を絶つ直前、ベトナムの管制域に入る際、マレーシアの管制が「間もなくホーチミンの管制域に移る」と伝えたところ、パイロットが「了解。おやすみ」と応じたのが、最後の交信だったという。
 この記事だけを鵜呑みにすると、パイロットが操縦中に寝ようとしていたのが消息を絶った原因と受け取られかねません。管制を引き継ぐときに交わされる「good night」という挨拶を誤訳しているのです。
 読売新聞が名前を挙げた新京報では確認できませんでしたが、人民網(人民日報電子版)に英語の交信が掲載されていました。
 それによると、読売新聞の「了解。おやすみ」としていた部分は「Alright, good night」とされ、中国語で「好的,晚安」と訳されています。「晚安」は日本語で「おやすみなさい」という意味になるので、読売新聞はそのまま訳してしまったのでしょう。

 エアバンドリスナーなら、交信を終えるときに使う昼間の「good day」と夜間の「good night」は非常にポピュラーな挨拶なのはご存知かと思います。あえて訳すなら、さしずめ「さようなら」程度の意味しかないでしょう。
 それなのに、「おやすみ」とさもパイロットが就寝するかと思われそうな交信をしていたと誤解されかねない翻訳は問題です。記事を編集する段階で、「おやすみ」は不自然ではないかという内部の論議は起こらなかったのでしょうか。

 忽然と姿を消してしまったマレーシア航空370便。今後の動静が気がかりですね。
 アマチュア無線ニュースサイトhamlife.jpによると、アマチュア無線ショップCQオームFacebookを引用する形で、ユピテルが広帯域受信機の現行3機種の製造を終了すると伝えています。現行3機種とはMTV-7500、MTV-5500、HR-500で、後継機種の発表がないことからこのまま広帯域受信機からの撤退を意味しそうです。
 表向きは部品供給を理由としていますが、真相は各種無線のデジタル化で需要減となり、採算が取れなくなっていたのかもしれません。今後は同様の理由で、撤退するメーカーがさらに出てくることも予想されます。撤退まではいかなくても、ラインアップを大幅に整理する可能性もありそうです。

 受信機の選択の幅がなくなってしまうのは、ユーザーにとっては悲しいところ。メーカーとして、ぜひともがんばって欲しいものです。
 先週末に引き続き、今週末も首都圏では雪の予報です。こちらの気象予報士によると、14日夕方が雪のピークとなり、大雪の可能性も懸念されています。

 東京では45年ぶりの大雪となった8日は、仕事でどうしても出かけなくてはなりませんでした。もちろん、受信機を携帯しての外出です。気になるのは鉄道の運行状況ですが、遅れてはいるものの動いている様子でした。
 しかしながら、帰宅時間となった20時ごろとなると、各所でポイント転換不良が頻発。雪がポイントに挟まったりして動かなくなったようです。
 受信機では、列車無線で顛末をワッチ。私が乗車した電車も途中駅で抑止となったものの、列車無線のおかげでいつになったら動き始めるのかがわかりました。やはり、このような状況下では正確な情報を持っている方が落ち着いて待っていられます。

 先週の大雪で、受信機の有用性が証明された形になりました。ぜひとも傍らに受信機を用意し、情報の入手に努めてください。
 明日2月8日は、広範囲で雪の予報が出ています。特に、関東でも大雪になる可能性があるようです。気象予報士によると、低気圧が昨年1月14日と似たコースをとると予想されるため、このときと同様の大雪になるかもしれないとしています。

 もし大雪となれば、交通機関に大きな影響が出るのは必至。毎度のことですが、鉄道無線やバス無線などで正確な運行状況を手に入れることが重要です。
 また、路面が凍結すればスリップ事故も多発します。もし車を運転するなら、まずは滑り止めなどの対策をしっかり行った上で、消防無線や救急無線で事故や救助活動の情報を入手。状況によっては迂回路を検討することも必要です。

 雪の日は外出せず、家でぬくぬくしながら雪見酒ならぬ「雪見ワッチ」するのが理想といえます。でも、どうしても外出しなければならない場合には、受信機を活用してなるべく影響を少なくするよう心がけましょう。
 JR西日本は、1月28日に「北陸本線 防護無線機の機能が低下したまま列車が走行した事象について」と題するニュースリリースを出しました。それによると、運転台に取り付けられた防護無線機のアンテナ線(同軸ケーブル)が外れたまま列車を運行していたというのです。

 金沢発泊行き483Mとして運転されたこの列車の運転士が、泊での折り返しの際、運転台の防護無線機の同軸ケーブルが外れていたのを発見。その場で同軸ケーブルを接続し直し、泊発金沢行き580Mとして運転し、富山で司令に報告したようです。金沢到着後に、検車担当が防護無線機のコネクターを確認したとしています。
 防護無線機がアンテナと接続されていなかったことで、防護無線が正常に送受信できなかったのは間違いありません。また、いつから外れた状態だったかはニュースリリースに言及がないことから、不明のようです。

 このあたりの原因を究明し、再発防止に努めて欲しいものです。