とけいのじかん5
時代
いつの間にか世の中大きく変わる。
パソコンが急速に普及してインターネットの時代が到来してから
20年は経つだろうか。
私が遅ればせながらパソコンを手に入れてからも10年は過ぎただろう。
そうこうしているうちにスマートフォンなるものが、
更に急速に普及してパソコンそのものを不要なものにしつつある。
そして、この数年間は世の中の移り変わりが一層激しくなった。
あらゆる情報が世界中を瞬時に飛び交う時代だからだろうか、
人々の意識も急速に変化していくようだ。
良い悪いの判断はともかく、今はそういう時代ということなのだろう。
その昔、機械式時計ブームが北海道の片田舎にまで到達したころ、
私も時計雑誌でアンティーク懐中時計の特集を読み1つ欲しいと思ったが、
あの当時はどこで売っているのかすら全然分からなかった。
雑誌で紹介されているのは皆、東京の店ばかりだったと記憶している。
地元の怪しげな骨とう品店にアンティークの懐中時計があるのかどうか、
また、あったとしても果たしてどこまで信用して良いのか分からないし、
たとえ手に入れたとして、どこで整備していいのかも分からない。
だいたい、ウォルサムとかロンジンなんかのブランド名を
何となく聞き及んでいたけれど、
その他の機械式時計の知識は皆無に等しかったから、
全く雲をつかむような話だった。
そんなわけで地元の時計店で仕方なくセイコーの懐中時計を買った。
あの頃は、まだ、そういう時代だった。
ところが今やネットショップでもオークションサイトでも、
自由にアンティークやヴィンテージの古時計を手に入れることができる。
整備なんかを請け負ってくれるところもインターネットで検索すれば、
近間で見つけることも可能だ。
いざとなれば宅配便等で送って他の都府県で整備してもらうこともできる。
当然、時計そのものの情報だって、いくらでも好きなだけ入手することができる。
もちろん、その情報をどこまで信用するかは
当人の自己責任に任されることになるが、
とにかく昔は専門家しか知り得なかったことを
素人が瞬時に知ることができるのである。
まあ、懐中時計は、その後、興味が薄れてしまって、
幸いなことに無駄遣いせずに済んでいるが、かわりに腕時計が増殖した。
それはともかく、
まことに便利な時代になったものだ。
この“AZUSA 絆”も
こんな世の中だからこそ手に入れることのできた時計だろう。

スペックも
「21600振動/時 日差+30秒~-10秒 自動巻き(手巻き付)
秒針停止機能なし 21石(MIYOTA製)
左回転の片方向自動巻上げ式 5気圧防水 ケースサイズ 39.0×47.0㎜」
と、なかなかである。
長野県の時計屋復刻堂というお店のオリジナル腕時計の一つだ。
何でも精密部品工場の社長かつ店長さんが時計好きで作っているらしい。
なかなかマニアックな腕時計である。
しかも限定とはいえ259本も作ったらしいが、どうやら売り切れたようだ。
きっと地元の長野県だけではなくインターネットを通じて
全国的な規模で販売した結果だろう。
もちろん56GSなんかと比べると驚くほど完成度の高い腕時計とは言えないが、
やっぱり時計が好きな人がプロデュースしただけあって、
飽きがこないように、なかなか上手にまとめられていると思う。
どうやらクラシックでシンプルなスタイルが店長のこだわりのようだ。
ちなみにデュアルカーブサファイアガラスの風防が本機の自慢とのことであった。
税込みで29,160円だったが、この価格帯の腕時計としては、
当時、意欲的な取り組みだったと思う。

個人的な意見としては、もう少し時分秒針を長くし、
裏蓋を密閉式にして薄型にすれば、なお、バランスが良くなると思うが、
これは人それぞれ考え方も違うだろうから一概にも言えまい。

いずれにしたって、インターネットの時代だからこそできる、
ささやかな贅沢だろう。