前回の続きを書かせていただきます。


☆スポットライト

 新聞記者たちがカトリック教会の神父による子供への性的虐待のスキャンダルをあばいたアカデミー賞の実話。

 神父という聖域へのスキャンダルは、容易に記事にできない状況で、新聞記者たちの子供達への使命感、責任感、正義感などから、いろんな障害に立ち向かっていく新聞社の社員たちの姿勢に、「仕事とは何のためにするのか?」ということを考えさせられました。

 仕事は誰かの役に立つことで成り立っています。

新聞社は新聞の原稿を書くことが仕事ではありません。

原稿を書くことで誰の役に立っているかを意識しなければなりません。


 歯医者も歯の治療をすることが仕事ではないと思っています。

歯の治療を通じて何を伝えていきたいかを、社員一人一人が真剣に考えていかないといけないと思います。

 この映画で、社員が一丸となって不正に立ち向かっている姿を見ながら、うちの社員はこの映画の社員に比べて、どれだけの「使命感、正義感、責任感」を持って仕事に当たっているのだろうか??ということを考えてしまいました。

 仕事なのか作業なのかの違いは、「何のために仕事をしているか?」ということをどれだけ意識しているかどうかの違いだと思っています。

 何も意識しないでしている仕事を「作業」といい、何も意識しないでしている仕事の状況を「マンネリ化」というのだと社員には言っていますが、社員にどこまで伝わっているのかと問われると……トップが情熱を持って伝え続けなければ、社員はマンネリ化してしまうものだと反省させられました。

 この新聞社の社員が「使命感、責任感、正義感」に燃えて仕事をしているのは、トップにリーダーシップがあってのことだと感じ、自分とこの映画の新聞社のトップの人との情熱の差を反省して明日から頑張ろうと感じました。

☆レヴェナント 蘇りし者

 レオナルド・ディカプリオのアカデミー賞受賞作品で、先住民との争いの中、巨大なクマに襲われ瀕死の状態で仲間に息子を殺され、復讐のために生きていくストーリーだ。

 人は力強く生きていくためには、何らかの「生きる理由」「頑張る理

由」が必要なものだ。

 デカプリオは映画の中で復讐のために生きる決意をするが、最後には「復讐は神の力に任せよう」という気持ちになっていく。

 この映画を観ていて、生きるために、人間の欲望、暴力などの本能を前面に出していかないと生きていけない時代を経て、今のように法律が整備されて、お互いが人間の欲望を抑えながら理性でコントロールしながら生きていく時代が出来上がってきたことに、感謝の気持ちが湧きました。

 今の平和な時代は、こういう混乱した時代の葛藤を経て作られてきたのであるから、人間の先祖の方々の命の犠牲の上に成り立っていることを忘れてはいけないのだと思いました。

 そして、私の好きな言葉に「心が体を動かす」という言葉がありますが、どんな状況でも諦めたらおしまいで、「死」でさえも諦める気持ちが多大な影響を与えていることを再認識しました。

☆ルーム

 監禁された女性と、そこで生まれた息子が、7年の監禁生活から脱出して社会に適応していく葛藤を描いています。

 最近、少女の監禁事件が解決したばかりでどうしてもだぶらせていてしまいました。

 以前、世界仰天ニュースでアメリカの同様の事件が流されていましたが、コミュニュケーション能力が低下し、バーチャルな世界に引きこもってしまう流れの時代には、こういう事件が多発してくるのではないかと危惧してしまいます。

 私は2児の父親ですが、この映画を観ていて「母親の愛は海よりも深い」ということを痛感させられた気がします。

 彼女にとって、息子は生きる源泉だったのだと思います。

 人間はどんな苦境に立たされても生きる希望があれば生きていけるし、逆にどんなに恵まれた環境においてさえ生きる意味がない人は、生きていることが苦しくなってくるものではないでしょうか。

「自分が彼女だったら……」何を生きる希望にできたのだろうか??と考えると、答えが思いつかないだけに息苦しくなってきます。

 日本での事件の被害者の彼女も、少しずつでも社会に適応して幸せになってほしいと思いました。

 GW中に7本の映画を鑑賞しましたが、これらの映画の共通のテーマは「幸せ」や「死」についてのテーマが多いことに気が付きました。

 

 映画には、監督やスタッフの伝えたいメッセージがあるように感じます。


 経営者も映画監督と同じように、仕事を通じて社員やお客様に何かを伝えていく存在なのではないかと思っています。


 私は、クリニックのトップですが、経営者とは、「人を幸せにする専門家」でなければいけないと思っています。

 私にとって、「お客様の幸せ」と「社員の幸せ」を叶えていくためには、まずは自分の中での「幸せの定義」を持っておかなければいけないと思っています。



 私は「言葉は力だ」と思っていますが、定義が違えば行動も違ってきます。

 私にとっての幸せとは、簡単に言うと「感謝と尊敬」だと思っています。

 感謝している時に、嫌な気分になることはありません。

また、他人を尊敬(尊重)している時に、その人のことを嫌いになりません。

 日々、いろんなことに感謝して、自分とかかわる人を尊重している時間が長くて深い人ほど幸せな人生なんだと思います。

 GWも終わり、新たな気持ちで仕事に向き合うことになりますが、私にとっての仕事とは幸せになるための手段です。

 仕事を通じて「感謝と尊敬」ができる人間に近づくために、困難と向き合っていきたいと思っています。