この四月にサラリーマンには宿命の人事移動があった。今度は動くかと思いつつ鮮やかに掠っていったが若干の担務変更があり、外回りの仕事が入ってきた。
先日外回りの仕事の下見の途中でスタッフのY氏が昼飯を佐世保駅のテナントにある”大善”でソースカツ丼を食べようと言い出したので営業の新人共々3人でならんで大盛りのソースカツ丼を食べた。去年バイクツーリングで食べたメニューであり、私自身は難無く完食した。後の二名は苦しそうであったが残す事はなかった。その後業務を終えて帰る時に再び昼食の場所をどうするかと言う話になった。Y氏は山の様な大盛りのちゃんぽんを食べさせる”井出ちゃんぽん”に行こうと提案してきた。他のスタッフも賛成したので12名で店舗に向かった。このお店はメニューがちゃんぽんとカツ丼と餃子程度で客の大半は野菜の山と格闘する為かちゃんぽんを注文している。
別に怖気づいたわけではないが、バイト達はここのカツ丼が美味しいと言うのでカツ丼を注文してみた。料理を待つ間、厨房を覗くと大皿に中華なべから大量の麺と野菜を盛付け、お玉で野菜の頂上を押さえた状態で皿を斜めにしてスープを切って更に野菜を載せていた。皿のすりきり水平面から野菜の頂上まで20cm弱はある。驚いた事に10人に一人程度ではあるが確実にこの野菜のピラミッドを注文している客がいる。
テーブルの問題でY氏と離れた席にいたが、この非常識の山がY氏の席に運ばれるのを目にした。てっきりY氏の前に座る小柄な女性スタッフの注文と思いきや、そのとなりのS君の注文であった。多分Y氏に騙されたのだろう。Y氏はカツ丼とちゃんぽんに果敢に挑んでいた。そのそばで背中を震わせながら箸を進めるS君の表情はきっとウルメイワシの虚ろな目を連想するものだったに違いない。
大方の予想通りS君は動きを止めてしまった。まだ野菜のみを食べただけで麺は明らかに食べていない。皿の縁の平面より上の部位が無くなっただけである。可愛そうなS君は肩を落としながら向かいにいたスタッフに残りを食べてもらっているのが見えた。まあ想定内である。当然の帰結と言えよう。
さて自分のカツ丼であるが、普通盛であったが他の店の大盛り程度はゆうにある。しかも厨房で御飯を盛り付ける時にしゃもじで御飯を押し固めているのを確認している。半熟の卵と出汁がいい感じである。美味しい。私は簡単に完食したが4人いた大学生バイト達は2/3程度で箸が止まり、”ヤバイ”を連発している。私は頼んだ物は全部食べるように指導(笑)すると、苦笑いと苦悶の表情をしつつ全員無事完食した。帰路の車中で4人とも満腹の苦痛から逃れる為か皆一様に寝てしまった。
Y氏曰く、大村ICを降りてすぐの交差点を左折した方向にやはり大盛りを注文すると”大丈夫?”と聞き返すおばさんがいる、爆盛りの店がお気に入りで家族で時々通っていると言う。
爆食マニアが意外なところにいた。灯台元暗しか。ライバルなのか身内と成り得るのかこれからの展開が楽しみである。