フルメタルジャケット 海とサーファーが教えてくれた その49 | フルメタルジャケット

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こんな時代だけれど、日本のモノづくりを再起動したい。

[5].二つの課題
 もっとも、波の末端、水平方向の流れを利用しようとしたのは、私が貧乏で波打ち際でしか考えられないからだけではありません。ここが波のエネルギーを効率良く取り出せるポイントであるからです。沖合に出れば、波は大きくなってうねりとなり、そこには大きなエネルギーが含まれています。一節によると日本の周囲の沖合には平均して1平方メートル当たり10kwのエレルギーを持っていると言われます。それを広大な面積から上手く取り出す方法がなかなか見つかりません。波の上下動を利用した発電や、左右の揺らぎを利用した発電方法は、大きな波を利用しますが、非常に限られた範囲でのエネルギーしか利用することができず、効率の面で優れているとは言い難いものがあります。
 そこで私は、波のエネルギーを最も効率良く取り出せる方法は、砕波した後の、水平方向の流れを利用することだと考えました。次に、水平方向の流れを利用して効率良く発電するために、二つの大きな課題を設定しました。一つ目は、広い範囲から波を集めてきて大きくて強くて安定した水平方向の流れを生み出すことです。もう一つは寄せては返す往復運動が基本の水の流れを如何に効率良く電気エレルギーに変換するかです。
 前者に対しては、波を集めてくる集波板、集波板に続いて手元側に在って理想的な水平流を生み出す整流板を考えることになりましたが、これはだいたいの形を決めた後は、シミュレーションと実験を繰り返しながら高度化、大型化を進めて行くことになります。それを考える以前に、果たして広い範囲から波を集めてくることができるのかという疑問が生じました。これについては、現在でも確証が在るわけでは在りませんが、長い時間にわたって海岸を歩き続け、様々な波の挙動を見てきた結果、私は波を集めてくることができる方に賭けてみることにしました。少なくとも今の御時世では、試してみる値打ちがあると確信しています。
 一方、後者に対しては、茅ヶ崎の海岸で向かってくる波に対して、サーフボードを抱えて小さくなって波の下に潜り込み、波をやり過ごしたサーファーの動きから解決策を見出すことができました。二つの滑車を結んでベルトやロープを張ったループの上に、フロートを取り付け、そのフロートの上には後ろから水流を受けた時に開いて前向きの力を得て、前から水流を受けたときには羽が閉じて抵抗を減らす羽を取り付けます。これが、現在はSNB型と呼んでいる特許として認められた発電装置の考えです。
 翌年の1月になって、同じく水平流を使った別の形の小型で波頭の挙動を調べるのに適した発電装置を考案しましたので、こちらと分ける意味で前者をSNB型、後者をOLB型と呼ぶようにしました。湘南地域に住んでいる方は既におわかりかと思いますが、SNBという名称は湘南ビーチから、OLBという名称は大磯ロングビーチ(人工波があるプールの名称)に由来しています。
 そして、「サーフィン発電」という名称は、前出のサーファーが波の下に潜って、向かってくる波をやり過ごす方法を教えてくれたので、それに敬意を表して名付けました。
 「サーフィン発電」と聴いてサーフィン、サーファーを観て考えついた発電の機構だからと想像される方も多いと思います。それは、その通り正解です。ただし、華麗に波乗りをする姿ではなく、小さく波の下に潜る姿に由来しています。



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