フルメタルジャケット 海とサーファーが教えてくれた その43 | フルメタルジャケット

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こんな時代だけれど、日本のモノづくりを再起動したい。

[5].波のエネルギー
 金谷港に着いた後は、内房線で館山駅までやって来ました。午前10時に館山駅を出発し、国道410号線を真っ直ぐに南下し、外房へと向かいました。正午に向かうにつれて天候は急速に回復し、夏を思わせるような眩しい太陽の光が降り注ぐようになってきました。
 途中で山の頂上を深い谷のように切り抜いた峠があり、その峠の先、右手に館山運動公園が有ります。この館山運動公園から先は、道路は概ね下り坂になっていて、緩やかなカーブを繰り返しながら、徐々に周囲の山が両側に去り、視界が開けてきました。だんだん海に近づいて来ていることが実感されました。これまでも何度も海を見ながら歩いて来ました。それでも、東京湾を廻る内海と、房総半島の先に見える太平洋とでは海が違います。里見八犬伝を思い起こさせる名前が残る田園地帯を、早く太平洋を見たくてわくわくしながら歩いて行きました。
 やがて国道410号線に館山から海岸沿いを廻ってきた房総フラワーラインが合流してきました。その合流地点にある平砂浦ふれあいショップで昼の休憩を取りました。ショップに併設したガーデンで素朴だけれども心のこもった昼食を採りました。目の前は起伏のある畑が広がります。その直ぐ奥は太平洋が広がっているのですが、視界には海は全く見えません。それでも空と台地の境の丸っこさと、海からやって来ましたという顔をした雲が、その先に大海原が有ることを感じさせてくれました。
 昼食を採って、一休みしたところで出発しました。ふとウッドデッキに目をやると、大きな赤い沢ガニがいました。ここから海は見えなくとも、沢ガニが散歩でやって来る距離に海があることが判ります。カニさんに挨拶をして、リュックを背負って歩き出しました。
 国道の緩い坂道を登ってゆくと、前方に短いトンネルが見えて来ました。トンネルの向こうに空が見えます。
 「峠の短いトンネルを抜けるとそこには大海原が広がっていた。」
何やら、聴いたことがあるようなフレーズを考えながら、トンネルへと入って行きました。
そして、トンネルを抜けました。そこに見えたのは海岸沿いの集落でした。あらあら、民家が有るので、その先の海が見えません。クルマだったらほんの一瞬に通り抜けてしまう距離を、じらされながら足を進めて行きました。 
 やがて、民家の屋根と屋根の間から、待望の太平洋が顔を覗かせるようになってきました。そして国道は高台の切れ目から海を一望できる布良崎へとやって来ました。青木繁の「海の幸」の記念碑が建つ高台から見える太平洋の雄大な眺めに圧倒されました。
 眼下に広がる芝生と低い木の生えた台地。その向こうには大きな白波が押し寄せる深い青の太平洋。その一部は太陽の光を反射して眩しく光っていました。そして明るく青い空。
そこに浮かぶ白い雲。5月5日に三浦半島の先端をスタートして、歩き繋いで約半年。ようやくたどり着いた太平洋はエネルギーに溢れていました。

 海より少し高いところを通るフラワーライン・国道410号線は、南房総市に入り、海沿いの白浜フラワーパークを過ぎた辺りから高度を下げ、海岸沿いへと降りて行きます。
 国道410号線は海岸まで降りてきたところで、いったん海沿いを通る県道と別れて、内陸よりの集落へと伸びて行きます。当然、私は海岸沿いの県道へと進んで行きました。右手には広い砂浜、左手には海風からの緩衝帯となっているのか、広い原っぱが続きます。県道は道幅も広く、広い歩道も完備されています。
 この辺りの海岸は砂浜を中心に大きな岩があちらこちらで海中から顔を覗かせています。
大きな波が岩にぶつかって浪しぶきを上げなら、さらに力強く砂浜へと打ち寄せていました。砂浜にはたくさんの枝が打ち上げられていました。大小無数の枝が散乱し、ビニールやプラスチックのゴミを混ざっているので、決して綺麗な海岸というイメージは受けませんでした。しかし、広い海岸に人影もなく、大きな波が打ち寄せる様はとても野性味が溢れるものでした。
 海岸沿いを歩き始めて程なく、前方に最終目的地の野島崎灯台が見えて来ました。斜め後ろから強い風を受け、海面に反射する太陽の光を顔に浴び、海岸に打ち寄せる波を見ながら歩いていると、まるで自分が海からのエネルギーを貰いながら前に進んでいるような錯覚を受けました。いや、もしかしたらこれは錯覚なんかじゃなくて、案外、人間は陽の光や風や波からエネルギーを吸収している生き物かも知れません。
 その時の私は確かに海からのエネルギーを全身で受け止めながら残り僅かとなった行程を元気よく歩いて行きました。



$フルメタルジャケット-波のエネルギー



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