話せるひとM さんしかいなくて、話聞いてください!とK ちゃんからいきなり電話がかかってきた。その日は私もお休みで、夕飯を作っていたので、フライパンを回しながら話を聞いた。

というよりも、真っ先に、それで、私から何を聞きたいの?ととっさに聞いてみた。

するとなんでも大きな危機が起きたとかで、その詳しい内容を聞く前に結論から聞いたのである。私は人から相談されると、それで何が聞きたいのと止めることが多い。みんなその出来事の詳細を話して憂さ晴らしをしたいというのが多々あるが、残念ながら私にはそう言った時間はない。 しかも、人間とは面白いもので、グダグダ問題を説明しようものなら、それをもっとこじらせることになり、挙句の果てには真っ暗闇の重い苦しさが恐竜のごとく押し寄せてくる。

 

何かにつけ、私に聞いてくるのは、何か助けになるようなことが聞きたい。特定の質問がある。という場合が多いので、まずは問題の内容をきかず、それであなたはどうしたいの?と聞くようにしている。人はそれぞれ不満に対処しようとか、問題を解決しようなどと考えることが多いが、しょせん神様の解決方法に比べたら、人間が考えることなんてちっぽけなものである。なので初めに、夢や希望、どうなってたら最高なの?つまりはその人なりの答えを前提に聞くことにより、本人の中の神様が発動して、いつの間にかそこに向かって心が幸せになってることが確実に多い。私はそれを目指している。K ちゃんもまたしかりで、海外駐在員の妻歴7年。やっぱり自分の仕事が恋しいのだそうである。でも会社を去って7年、自分には何も特技もないし、スキルもないし、海外で暮らしているのに英語さえ話せません。英語話したい。小さな仕事をしたいです。とおもむろに、いろんな情報がわいてきた。

お寿司やクッキーを作るのが素晴らしく上手な彼女は写真を撮るのも上手。フードコーディネーターとか、食べ物の写真を撮ってあげる仕事なんかも面白いんじゃない?そういう仕事で日本以外のところつまり日本人が言う海外で仕事をする予定があるから英語話したいって欲望が出てくるんじゃないの?と聞くと、その途端、彼女の前世の姿が私の頭によぎった。

だって前世は瓦版作ってるひとだったからねー というと、30秒の沈黙の後、へーやっぱりそうだったんだーと感慨にふける彼女。実は友人からインスタグラム用の写真を撮ってくれとの依頼が来ているそうである。インスタグラムって現代の瓦版だよね! と妙に納得した彼女。2人の小さい子供たちの送り迎えをしながら、写真とビジュアル系の仕事に目覚めた彼女に22分前のお先真っ暗感は木っ端みじんに砕けてて、真昼のように明るい陽射しがさしていた。

私の、22分で復活した女だね!とスマートフォンの時間を見ながら話し終わると、彼女もけたけた笑い、瓦版とは驚いた!と言いながら幸せになっていた。

過去生からくる情報は大概人生の次のドアを開けてくれるドラえもんのどこでもドアのようなものである。ゲームの楽勝ヒントはやっぱりないよりはあったほうがよい。そんなふざけたことを考える私の昨今である。