-豊島のこと-



縄文時代の貝塚が発見され約25000年前から
人が住んでいたと推定される豊島。

瀬戸内の美しい島々を見渡せる壇山には
樹齢250年を数える大木が原生する豊かな森が広がる。

かつては石材業、農業、漁業のほか
湧水の恩恵と400~500の溜池を整備して稲作も盛んだった。

その名の通り、豊かな自然や歴史、文化をもつ島である。





しかしその島は1970年代から民間業者による
産業廃棄物の不法投棄が行われるようになり
「産廃の島」というイメージができてしまった。


現在は原状回復、生活再建が進められていて、
環境保全、福祉、信仰の島として、
豊かな島の再生に向けて今も住民の活動が続いている。

耕作が放棄されていた棚田の再生と
景観整備を目的としたプロジェクトが2009年から始動し、
翌年には壇山の中腹から海岸線まで整備され、
今では美しい景観が広がっていた。





この景色を拝めるようになったのも
つい最近のこと。

島の住人たちはどれほどの強い思いを持って力を注いできたのだろう。


傷を負った島の歴史を思いながら見て回ると、
目に入ってくるひとつひとつの風景や、
アートの中に見える作家の思い、
すれ違う時にふと見えた島の人たちのやさしさが、
より一層深く、重く、わたしの心に響いてきた。