変わらないリスク | あっぷ指導会船堀教室のブログ

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人間の心理とは本当に不思議なもので、今在る現実を、価値の物差しとして判断してしまいがちです。いわゆる、自己肯定です。たとえば、他人との間に、意見の食い違いが起これば、根拠もなく自分の世界観を是とします。場合によってはムキになってでも他の考えをつぶそうとするかもしれません。もはや感情が先だって、ここに論理というものは成立していません。

 しかも恐ろしいのは、これが個人的見解ではなく、社会的見解になることです。国は暴走すると戦争に突入するわけですが、この暴挙を、国民が一体となって支える例は、何もかつて軍国主義がはびこったこの国特有の現象ではありません

 またおかしな集団的思想は、決して昔話ではなく、今の日本でも起こっています。桜宮高校の体罰事件がまさにそうです。教師の体罰という犯罪行為によって、未来ある人間が苦しんだ後に自ら命を絶つ選択をしたという事実が、すべての論点の出発点であるにもかかわらず、へたをすると、体罰教師の擁護論まで出てくる始末です。「体罰は愛情の裏返し」などと言い、人間一人の死を真剣に考えようとしません

 ある報道によれば、教育評論家の尾木直樹氏は、「体罰をありがたがっている卒業生もいるようだが、それは、私は、人格をゆがめて卒業してしまっているのだと思う」と厳しい見解を示しましたが、これこそ正論ではないでしょうか。

 さらに尾木氏はこのようにも述べています。「体罰は法律違反。教育の場だけ認められるのはありえず、議論の余地がない

 この体罰事件は何も大阪限定の問題ではありません。おそらく残念ながら日本のどこか暗闇で今日も起こっているでしょうし、昔から学校教育の現場で、体罰はつきものだった事実は、きっと私の周りだけではなかったはずです。

 これは教育の世界がもたらした由々しき事件です。これからの子供たちをどのように育てていくべきか、どのような指針の下で教育者は指導にあたっていくべきか、今大人たちは試されています。

 この先も未来ある子供を殺しかねない誤った思想や、愚かな自己保身、無責任甚だしい見て見ぬふり、解決に向けて奔走する人間への揚げ足取りなどあってはなりません

 皆が皆、本気になって、いつまでも過ちの世界観におぼれることなく、きっぱり区切りをつけ、正しい社会の世界観を構築し、それを広げる時なのではないでしょうか。

 とかく人は現状維持ベースで洞察しがちですが、いつまでも手をこまねき、失われた20年を過ごしてしまった日本人であればこそ、実は「変わるリスク」よりも、「変わらないリスク」の方がよっぽど大きいことを、そろそろ学ばなくてはなりません。