発達障害について 6

 

トゥレット症候群について考えたいと思います。

トゥレット症候群とは、「チック」と呼ばれる特徴的な運動や音声が自分の意志とは関係なく突然現れ、繰り返す症状が1年以上みられる精神神経疾患です。

チックは6歳頃からみられることが多く、複数の種類のチックが消失したり新しく現れたりすることを繰り返します。多くの場合は成人するまでに消失するか、軽快するといわれています。しかしながら大人になってからも症状が継続する場合もあり、また自分ではコントロールが難しく、チック症状の重症度によっては日常生活に大きな支障をきたす為、周囲の理解が欠かせません。

トゥレット症候群は、原因は完全には解明されていませんが、脳内神経伝達物質ドーパミンの過剰活動が原因とされていて、育て方や親の愛情は全く関係がありません。

 

 

 

 

症状は、運動チックと、発声や言語の特徴による音声チックに分けられます。 運動チックは、顔面や首、肩などの筋が不随意的に収縮を繰り返し、まばたき、顔しかめ、首振り、うなずき、口ゆがめ等が多く、音声チックは、ンンン、という声や鼻すする、咳払い等が多く見られます。

他の障害を併発する場合も多く、注意欠陥多動性障害や強迫性障害は、特に多い併発症とされています。そのほか、学習障害・睡眠障害・気分障害などがみられます。

 

 

治療としてまず、本人、家族、教師などの周囲の人々に、障害の特徴を正しく理解してもらい、チックや併存症をもちながらも成長し、社会適応できるように支援することが大切です。

また、心理教育および環境調整だけで解決できない場合には薬が必要になります。薬は、チックだけでなく併存症もふくめたどの症状に的を絞るのか、副作用の程度も考慮して選択されます。


 

 

 

発達障害について考えてきましたが、最後に発達障害の方への対応についてまとめたいと思います。

 

 

専門機関で発達障害と診断された場合、現段階では原因のメカニズムは完全に解明されていないため、原因を取り除いて“根本から治療する”といったことはできません。社会生活をスムーズに送るための訓練をする「療育」が有効な対応となります。

 

 

療育とは、障害をもつ子供が社会的に自立することを目的として行われる医療と保育のことです。療育では、「社会生活のルールを守ること」「基本的生活習慣を身につけること」などを繰り返し教えていき、自立した社会生活を送れるようにすることを目標としています。そのためには、障害についてよく理解し、子どもに合わせた教え方を選ぶ、達成感を味わえるようにする、自立した社会生活を送れるようにする、長い目で見ながら継続していくことが大切です。

成長が進むにつれて、学習や社会生活で困難に直面する機会が増えていきます。支援の開始が遅れると失敗の経験が増え、「自分は何もできない」と自尊感情の低下や周囲からの孤立を招きかねません。
早い時期から療育を行うことで、脳の活動分野が活性化され、神経のネットワークが作られていきます。それにより、これまで難しかったことができるようになったり、望ましい行動をとれるようになったりしていきます。
早期に適切な支援を受けられれば、子どもの可能性は大きく花開いていきます。適切な療育で社会への適応能力を大きく伸ばすことも可能です。

 

 

 

 

 

 

 

 

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