発達障害について 2
今回は、発達障害のそれぞれの種類や特長について考えていきたいと思います。発達障害の種類は、それぞれが個別に存在するといより、特性が重なり合って出ることが多いようです。
一口に「発達障害」と言っても、特性の現れ方はひとりひとり違い、それが「発達障害」の理解を難しくしている原因のひとつでもあります。
自閉症スペクトラム障害
まず、自閉症スペクトラム障害の特徴についてみてみたいと思います。
自閉症スペクトラム障害は、自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障害などが統合されてできた診断名です。自閉症やアスペルガー症候群などには互いの境界線を引くのは極めて厳しいこともあるので、病気の一連の続きとして“スペクトラム”として捉えられています。
対人関係、コミュニケーションの障害、こだわり、興味のかたより、行動のパターン化、集団に馴染むのが難しいなどがみられるのが特徴です。また、記憶力がとても優れている場合もあります。
★自閉症
自閉症には、知的障害と言語の発達の遅れがある典型的な自閉症と、知的障害はないが言語の発達の遅れが見られる高機能自閉症があります。
自閉症は女性よりも男性に多くみられ、1000人に1~2人の割合で発症します。自閉症は3歳くらいまでに気づく場合が多いようですが、軽度の人や高機能自閉症では健常者と区別がつかないほどの人もいます。また、自閉症には誤解や偏見が多いのも事実で、周囲の理解や支援が必要です。
赤ちゃんのうちから特徴的な行動や仕草がみられ、だいたい3歳くらいまでに自閉症に気付く場合が多いようです。
成長するにつれ症状は変化し、人それぞれに多様化します。
思春期や青年期になると、自分と他の人との違いに気づいたり、対人関係がうまくいかないことに悩んだりし、不安症状やうつ症状を合併する場合があります。
就職してから初めて、仕事が臨機応変にこなせないことや職場での対人関係などに悩み、自ら障害ではないかと疑い病院を訪れる人もいます。
子どもの頃に診断を受け、周囲からの理解を受けて成長した人たちの中には、成長とともに症状が目立たなくなる人や、能力の凸凹をうまく活用して社会で活躍する人もいます。
自閉症には下記の特長があります。
目を合わせられず、他の子と一緒に遊べません。
○コミュニケーションが取れない
言葉の遅れ・オウム返しがよくみられ、全く言葉が出ない場合もあります。
○多動
子どもは障害の有無に関係なく、よく走り回りますが、自閉症の場合は目的もなく、走り続けます。じっとしていられずに、教室などから飛び出してしまうこともあります。
○こだわり
限られた物や行動、習慣にこだわり、同じことを何度も飽きずに繰り返したり、同じ遊びを繰り返したりします。同じ日課・同じ食べ物・同じ道順など、決まった行動や興味のあるものにこだわりを示します。
○意志の疎通が出来ない
意志を言葉で伝えられないために、何かをして欲しいときに相手の手をつかんでそこまで引っ張っていくようなクレーン現象があります。また、意味のわからない言葉を発したり、同じ言葉を繰返したりします。
○パニック
自閉症は自分の気持ちを表現できないために、欲求がある場合や慣れないことをした場合、予定などの変更があったりして混乱した場合にパニック状態になります。自分の頭を壁などにぶつけたり、髪の毛を引っ張ったりという自傷行為などがあります。
対人関係やこだわりの特性があることによって生活に支障を来していれば、「自閉スペクトラム症」と診断され、行政上は「障害」として教育や就労などにおける特別な配慮や福祉的サービスの対象となります。逆に、特性があっても生活に支障を来していなければ診断されません。特性そのものは病気や症状ではなく、その人特有の性質であり、生まれつきの特有の脳の働き方を反映した「個性」だと捉えることもできます。次回は、アスペルガー症候群について考えたいと思います。 つづく
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