パーソナリティー障害とは 6 (リストカット)

 

リストカットは、近年では思春期の中高生で増えているといわれる行為です。自分自身の手首等を、カッターなどで傷つける自傷行為のことをいいます。

 

ただちに自殺に結びつかないものも多いのですが、自傷行為(リストカット)には、「依存性がある」と言われています。自傷をすることで「気持ちがすっきり」できたり、一時的にせよ「つらさを忘れられる」ことができた感じます。身体的な痛みの方が心の痛みよりずっとましであるという置き換、防衛心理機制が働きます。

しかし繰り返すうちにその効果を感じにくくなり、回数や自傷方法がエスカレートしてしまいます。

また、冷静になると、「またやってしまった」と罪悪感を感じたり、自分はダメだと感じて自己肯定感を擦りきらしてしまいます。それが、更なる自傷行為につながりリストカットの他の自傷的依存行為(摂食障害、薬物依存など)につながる恐れもあります。

 

精神的な強い憤りや悲しみ、空虚感、不安などがあり、その感情の救済としてリストカット等の自傷行為をします。自分自身で抱え込んでしまい自分で解決しようとして、周りに助けを求められず、追い詰められた末での行動だと考えられます。

 

 

リストカットがみられる疾患としては、境界型人格障害、統合失調症、うつ病、解離性障害などがあります。

 

 

 

 

リストカットをしてしまう人の中には、自傷行為をやめたいと感じているのに、うまく自分の感情をコントロールできずやめられず、悩んでいる人が多くいます。

完璧主義を止め、自己を受容し、自尊感情を育てることが回復へのアプローチです。

 

つらい感情を、理解してくれる家族や友人が必ずいるはずです。家族や友人と一緒に、悩みの根本になっているものを取り除いていくようにしましょう。その中で「つらい」「死にたい」と考えてしまう場合もあるかもしれませんが、自分らしい解決方法が必ずあるはずです。簡単に解決するものではないかもしれませんが、信頼する人と一緒に一歩一歩進んでいくことが大事です。

 

 

リストカットをする子の親や周囲の人の対応は、冷静で穏やかな態度で、怒ったり、責めたりするのではなく自傷に至ってしまったことへの理解をすることが大切です。
自傷行為を告白、相談してくれた場合、その時点では、唯一のストレス解消法ですので、取り上げられたら、ますます苦しくなってしまいます。リストカットについては温かく見守ってあげましょう。
「苦しいことがあったんだね」と声をかけて、辛い気持ちに寄り添ってあげましょう。

常に味方でいてあげることが大切です。色々な場面でそれとなく、「あなたには存在する価値があるんですよ」ということを伝えてあげるようにしましょう。


 

 

 

また、家庭内だけで解決しようとせず、信頼できるスクールカウンセラーや教育相談所、医療機関、精神保健福祉センター等にご相談することもお勧めいたします。

 

 

次回は、C群に含まれているパーソナリティ障害について考えたいと思います。    つづく

 

 

 

 

 

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