あれ？
ひとつ足りない。
白のコスモスポーツがなくなった…。
飾ってあったミニカーの一台がなくなった。
昨日はお客さんがいっぱい来たからなぁ。
疑いたくはないのだが、誰かが欲しくなって黙って持ち帰ったのだろう。
…。
そこに自分の弱い心に負けた人がいた。
人を信じてはいけない。
いや、信じ過ぎてはいけない。
でも、すべての人を疑いたくはない。
嫌な気分ではいるが、自分もそれを乗り越えなくてはいけない。
弱い心に負けないために。
「ケタタタター」
なにやら騒々しい鳥がいる。
「ケタタタター」
大きな声で騒いている。
いったいナニを伝えたいんだ？
ナニを叫んでいるんだ？
ただ地声がデカイだけで、
中身は何の意味もないの？
あの迷惑な人たちと同じで。
今日、羽根を広げて彼は飛び立った。
随分時間がかかったけれど
それまでのカラダから抜け出して
ちがう世界へと旅立った。
知らないだろうなぁ。
こんなに毎日見られていたなんて。
この瞬間を待ち続け、喜んている人間がいたなんて。
それにしてもここまで食べるか…。
「一緒に発表会に出ようよー」
彼女のその一言に始まった。
６月にある楽器店主催の音楽発表会に出場するために
中学生時代の仲間と数十年ぶりに再会して、その日の練習は始まった。
ポロン、ポロ〰️ン、
それぞれが持つウクレレとパート分けした役割の音色が響く。
休憩の度に昔話やら今どうしているとか話が弾む。
「じゃあもう一度、この曲をー」
気がつけば夕方近くになっていた。
このテンションを維持しながら、本番に向けて頑張ろう!
ウクレレの音色は、自分の満足で終わるかも知れないが
きっと価値のあるものになると信じている。
