ん?



これは・・・、



この香りは・・・、



キンモクセイのいい匂い。











大きく鼻から深呼吸をする。



いろんな思い出が甦る香り。




現実をしばし忘れる香り。



この薄い黄色は、私をそこにどんどん引き寄せる。






この薄い黄色は



栗ご飯になる前のナマの色。








私が拾い集めた栗は



今夜、胃袋に入る。
ついこの間まで夏だったのに・・・・。









“もう車の運転はアカンで”



親父から車を取り上げた。



達者な間は親は親、自分は自分の生活があると



そんな気持ちでいたけれど



気がつけば親父は年老いた。



「明日、病院の予約やねけど」



「⚪⚪が欲しいから買うて来て」



たびたび実家へ足を運ぶ。









自分は今、やさしいと思っている。



まだ、それほど負担になっていないから



やさしい気持ちでいられるのだろう。









ずっと、やさしい気持ちでいるためには



自分がやさしくしてあげてるという



あつかましい気持ちも必要なのだと



ちょっと思う。




うちにある1本の栗の木は



今年も不作だった。









ほんの少しだけでも



季節を味わいたいと



落ちた栗を拾い集める。





昨日と今日と合わせても20個ほどの栗の実と交換に



私はそこに住む蚊たちに



たくさんの血を支払った。



痒い・・・。



割に合わないブツブツ交換だ。




今日、そのセレモニーホールはオープン前のイベントをやっていた。



車で走りながら見ただけだが、



風船とかいっぱい見えて



家族連れがいっぱいいて



とどめは、


スタッフが“祭り”とかいた青いハッピを著ていた。



・・・、



セレモニーホールで祭り?



家族連れ?





違和感を感じるのは私だけ?




都会に住む人たちは知らないだろうが



日本国内には消防団組織があり



地方の田舎に暮らすほど



地域のために、人々の生活のために



それは重要な役割になる。



消防署があるじゃないか、



消防士はカッコイイ、



そんな風に感じる人もいるが



地道に生活の一部として



それぞれの仕事を終えてから



いつ発生するかわからない火災の消火活動のために



点検、訓練に汗を流す彼ら消防団員の方が



私はカッコイイと思う。










どんな地位名誉のある人よりも



どんな立派な仕事をする人よりも



損得なしに他人のために奉仕できる人間の方が美しい。





新しく入った団員に先輩が継承していくのは



機械の操作だけでなく、



世のため人のために自分になにができるかという心だ。