「おはよー!」
生徒たちに声をかける。
来春に開校する小中一貫校の工事が進む中、
現場の女子作業員が掲示板に書いたメッセージが新入生を迎える。

ただ工事をしているのではなく、かといってお喋りしなくてもコミュニケーションは成立している。
もうすっかり桜も散り、校舎のまわりは新緑が眩しい。
足下に残る桜の花びらに、つい最近が懐かしく感じる。

あいかわらず壊れたままの校門の時計だけが
時間に取り残されて、
でもあの場所で新しい春を見ているのだろう。

高校生活四日目の息子は、中学校の時より早く出かけた。

通学の電車の中では、まだ中学校の同級生たちと変わらぬ会話をしながら
駅を降りるとそこから新鮮で新しい春を楽しんでいる。
新しい・・・、
それはいいことだ。