今にも雨が降りだしそうな景色だが、ここからは空は見えない。

 
 
 
病院の待合室は途中から窓側を向いた席と廊下側を向いた席に分かれている。
 
 
 
私は文庫本を読むために明るい窓側に腰掛けた。
 
 
 
「8番目ですねー」
 
 
 
受付窓口で告げられた。
 
 
 
1時間以上はかかる順番だ。
 
 
 
今日はこの本を読み切るかも知れないなぁ。
 
 
 
時々本から窓の外に目を移すと木の葉っぱが大きく揺れている。
 
 
 
ここは外とは違う世界のように
 
 
 
静かにゆっくりと時間が過ぎて行く。
 
 
 
さすが病院だ。