吉野山に夏の間に、たくさんの子どもたちが林間学校でやってきました。
お盆を過ぎた頃、子どもたちと地元の若者たちが仲良くなり
肝だめしをすることになりました。
金峰山寺から脳天大神までの長い細い石段を
ひとりづつ下りて鐘を鳴らして帰ってくることになりました。
暗いくねくねと曲がり先が見えない石段を
子どもたちが一本のロウソクの灯りだけで歩いていきます。
自分の足音と時折ざわめく草木の音、ケモノの鳴き声…。
風もないのに揺れるロウソクの炎…。
何ヵ所かで待ち構えていた地元の若者が
子どもたちをおどかすと、悲鳴にならない声が山の中に響きます。
肝だめしが終了して旅館へ帰る道中、
「怖かったなぁ」
「うん、六番目のオバケが一番怖かったわ」
「えー、おどかしたのは五人しかいてないで…」
「えっ…、」( ̄▽ ̄;)
「あの枯れた木のうしろの人は?」
「あそこはすぐに谷で人は行けない…」
「…、」
「あれは、誰やったん?」
“カンカラン、カラン…”
その時、誰もいるはずがないのに、
鐘が弱々しく鳴りました…。
そんな話は…
いかがですか?

