そのカフェは大きな看板もないために通りから見ても分かりにくく、2つあるうちのひとつの入り口にも小さなサインボードがあるだけので隠れ家的なカフェで、中は種類の違う椅子やソファが適度な距離感で並べられていてゆったりとくつろげるため、私はたまに気がむくと立ち寄る。

ブルーベリーチーズケーキ
でも今日はそのおいしいチーズケーキについて…ではなくて、久しぶりに遭遇した大渋滞について。
さて、本を片手にケーキを食べてゆっくりとした時間を過ごし、夜7時をまわったころに私はカフェを後にした。
いつもの道を通ってエアポートロードに出ると、なんと反対車線の道路に旗やスローガンを持った人々が歌ったり叫んだりしながら行進している。
道は人で埋め尽くされているから、当然反対車線からの車は一台も見当たらない。
ホルタル? (ホルタル=ストライキ)
いや違う。
ドライバーのイドリスによると、最大野党の党首カレダ・ジアが海外から帰国したとのことで、空港からの送迎のためにエアポートロードをブロックしているというのだ。
道では、サポーターや雇われサポーターたちがカレダ・ジアの写真を掲げて、万歳!騒ぎになっている。
幸い、空港方面へ向かう私の車線はかろうじて前進をしていた。
しばらくして私の横をカレダ・ジアの車が通りすぎて行くと、それに続くように反対車線も少しずつ動きはじめた。
そして20分ほど行くと、なぜか私がいる車線の動きがパタリと止まった。
そこからは国会議員の牛歩状態で、100メートル進むのに30分、つまり時速200メートルというカメの歩みにも負けるスピードだ。
不思議なことに、反対車線のほうが断続的ではあるけれども、車に流れがあるように見えた。
イドリス情報によると、空港より先の道路は普通に動いているという。
いったいどういうことなのだろう。。。
最悪なことに、私の車のエアコンがまともに動かず社内はサウナ状態。
耐えかねた私とイドリスは、車の窓を明け、排気ガスと車の放つ熱気に耐えながら車内でぶつぶつとぼやいていたのだ。
1時間半が過ぎたころ、前を進む車が次々と左へ移動していくのが見えた。
意味が分からず私たちも後に続いて左へ車線変更していくと、目の前に、反対方向から逆走してやってくる車の行列が現れたのだ。
そうか、これが原因だったのか!
逆走してくる人々は、「みんなジアさんのおかげで渋滞に巻き込まれてるわけだし、ここはおおめに」なんていうわびれたような様子もなく、彼らは彼らでやはり渋滞に苛立ちながら、アイドリングしているのだ。
4車線の広い車道は5車線になり、必死に抜け道を行こうとサイドロードを走り始める人もいる中、私たちは下手な策略はせずに、とにかく地道に正道を進み続けようと決めた。

私の車の隣を反対方面からやって来ているのが逆走車。
その向こう側に車線を分ける境界壁がある。
かれこれ2時間が過ぎたころ、あるポイントを境に逆走車の列が消えてようやく目の前の道が開け、つい数メートル後ろの渋滞が嘘のように車が流れ出した。
我れ先にとサイドロードへ抜け出した車は、逆走する車との間でまだ苦戦していた。
「急がば回れ」とはこのことなのだ。。。
結局家に着いたのは21時半まであと5分というところで、私はぐったり疲れきった体を冷たく冷やしたビールで優しくいたわってあげたのだった。
それにしても、カレダ・ジア一人のために空港前道路をブロックするなんて、
前回のシェイク・ハシナ(現首相)帰国に引き続き、やっぱり迷惑極まりない…。







