スタバでしぶとくお茶して出勤した私は、デスクに就くと怒涛のメールに埋もれて、確かに良い意味で気晴らしになりました。
お弁当が手元にあるって分かってから国語が始まったら良いけど。
上司の常川さんが、
はなさん、娘さん元気で試験に行かれましたか?
それが、お弁当忘れて行ってしまって。
? お忙しい上司の方は状況が飲み込めないのか、普通は、はい、おかげさまで、とかで終わるのに?みたいな顔で、足早に去られて行きました。
試験が終わった頃、ラインが届きます。パパのお迎えの車の中の様です。
無事に終わったよ。
お弁当大丈夫だった?
うん、届けて貰えた。
そっか、お疲れ様、家に帰ってから教えてね。
実は、試験の翌日は三連休。安全校を確約で取っていた彼女は、間髪入れずにどこかに行きたい、とのことで沖縄旅行を予定していました。なので、
適当でいいから、沖縄準備しておいてねー。
私も全く何もしてません。ま、飛行機はそんなに遅く無いしな。
帰宅してから、娘ちゃんの武勇伝が始まりました。
教室について、直ぐに分かったの、お弁当忘れたーって。でも、かなみちゃんがいるし、と思ってさ。(すごい、考えることは親子で同じ)その先が感動です。流石都立高校、様々なご家庭があるのか、8時半からの試験開始前の注意事項の中に、
この中に昼食を持っていない人はいますか?
という文言があったそうです。試験管の先生は準備された文書を読み上げている一文であり、まさかそこで中断が入るとは思わないスピードで読み上げてたそうですが、すかさず娘ちゃんが、
はいっ!
と大きく手を挙げたそうです。あっちゃんさー、その教室の人がザッとみんなで見て来てさ、
よし、一人ライバル減ったぞ、こいつお弁当忘れてるし、終わってる
って心の声が聞こえて来たんだよね。試験管の先生は、
え、えー?ありませんか?と聞き直したので
ありません。
と言うとそれもマニュアル通りに
ではこちらで買って届けます。500円は持っていますか?
あります。
その後、つつがなく試験説明が終わり、静かに開始を待っている瞬間に、後ろから黒子の様な先生が、
高木さんですよね?お弁当です。
とサッと渡して下さったそうです。そして、ほどなく国語が開始されました。
あっちゃん、気がついた時動揺したんだけど、ママの職場に行く時に気がついてくれて絶対戻って来てくれると思ってた。で、もしだめならば、かなみちゃんがいるし、かなみちゃんが同じ中学からの受験でずっとライバルで嫌だったけど、あの日ほど、かなみちゃんが居てくれて良かったって思った日はないよ。
かなみちゃんに、その話したの?
してない。
もの凄い話題の中心になっていますが、おそらく、いまいま、の時点でも彼女はそんな立場にいたことをご存知ないと思います。
お弁当を忘れたトラブルも乗り越えて臨んだ国語は思った以上に出来たそうで、
お弁当もあるし、この後数学出来なくても国語でカバーする
と落ち着いた気持ちになったそう。ちなみに、一発目の試験の国語の時だけ、解答用紙回収の前に、
受験番号を記入し忘れた人は居ますか?
と聞いてくれるそうです。これもお弁当と同じく、公立高校の優しさですよね。落とすための試験ではなく、子供達の実力以外のことで落ちることは出来るだけ防ごうとしてくれるんですよね。そして、その優しさをしっかり受け取るべく、またしてもむすめちゃんが近強く、
はいっ!
と手を挙げたそうです。あっちゃんさー、思ったんだけど、あの教室で受験してる人たちの気持ちめちゃくちゃ和らげたと言うか、コイツ終わってんな、お弁当忘れて、受験番号書き忘れて、一人確実に落ちたよな、あんな子もいるんだって思ったと思うんだよね。すごい、みんな、安心したと思う。
試験が終わって、もうどうでも良いと思っているのか、回顧録の様に語る彼女に
相当大物、いや、何者?
とさえ思うのでした。試験が終わると夜に塾に行き、速報を元に自己採点をします。あくまでも予測のもとではありますが、数学が思った以上に耐えられたのと、社会は予言通り、自己採点では100点だったので、(実際は95点)合格ラインを超えているのでは、という予想を貰って帰って来ました。
にしても、相当なドラマだよね。
ね、私ってママに似てるのかな。入試の入り口で動画撮ってる親、ママだけだったじゃん。
そうかな。そうか。でも、良い思い出になるんだよ。
もうね、今日は死ぬ気で垢抜ける。勉強してたから顔パンパン。後一ヶ月で垢抜けないといけない、死ぬ気でギャルになるから。私、私立も受かってるし、試験やり切ったから結果はどうでも良い。とにかく垢抜けるの!
そうなんだ。頑張れ。
沖縄行きの飛行機ではそんなことを話していたような。
続きます。