誰かに「人生で一番好きな本は?」と聞かれたら、夏目漱石の『こころ』と答えるようにしています。
高校生のとき、国語の教科書で初めて読んで衝撃を受けました。登場人物は少なくて、私(男子学生)、先生、K、お嬢さんとお母さんの5人。
Kと先生がお嬢さんを好きになり、結果的に先生が勝利し、お嬢さんと結婚することになります。同級生がそのシーンを読んだ後に呟いた、「ひと言で言えば、お嬢さんはええ女やったということやな」が未だに忘れられません。笑 でも、核心をついてますよね。
さて、自殺を決意した「先生」が、10日間かけて自分の半生を手紙に綴り、私に独白する形で物語の後半が進行します。その先生が書いた手紙の中で、すごく印象に残っている文章があります。
●私は何千万といる日本人のうちで、ただ貴方だけに、私の過去を物語たいのです。あなたは真面目だから。あなたは真面目に人生そのものから生きた教訓を得たいと云ったから。
●私を生んだ私の過去は、人間の経験の一部分として、私より外に誰も語り得るものはないのですから、‥‥外の人にとっても、徒労ではなかろうと思います。
先生は、Kに対する裏切りで長年苦しんできて、側からみれば華やかで幸せな人生ではありませんでした。でも、そんな先生から発せられる言葉は、すべて過去の経験から得た教訓であり、とても重みを感じます。
誰もが過去という時間軸を持っているけれど、過去においてどれだけ「経験」をしたかで、語れることが変わってくるんだなと思いました。そして、何かを経験をしたときに「学び」に繋げられる人って、こうも魅力的に映るんだ、と気付かされました。
私の人生は、聞いていてワクワクするような華やかな出来事は全然ないですが、経験してきたことが沢山あります。特に、Lの人と出会うために行動した結果得られた気持ちや解釈は自分独自のものなので、大切にしたいと思います。空想や理論じゃなくて、経験から得た言葉を語れる大人になれますように。
なかなか寝れず連投しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。