ただ意識を手放して
言葉に身を委ねればいい
声は肉体を巡り
換言される心地良さ
黄金の砂を掌で受け止め
指の隙間から時間をこぼす
瑠璃色の歌声が吐瀉され
鳥は歌うことをやめる
あれは風のように気まぐれなのだから
細い意図は糸遊だ」
「いいえ、あれは幻です
双方の双眸が互いを求める
鏡面が波打ち波紋を広げる
線が点へ変換されてゆく
こだわりは廃棄されて
宝物庫は開け放たれる
「自由であれ!囚われるなかれ!」
〈Bravo bravo!!〉
肉に突き立った言葉が解体される
緻密な詮索が野暮になる前に
旅に出る魂の賢さよ
〈Bravo bravo!!〉
異国の言葉は通じないから良いのだ
主語も感度も脱ぎ捨てて
君は女神になる禊をする
〈Bravo bravo!!〉
愛される為に生を受け
愛する事で死に至るお前
その生き様の美に贈りたい
一方通行で傍迷惑な声援だ
一輪の薔薇を花瓶に
慎ましいようで気高き女
それがお前の常套句だ
お前と謂う女は言葉を持たない
蛇のようにすべてを飲み込んで
黙って首肯くのだ
残酷さを以って赤い薔薇の花を毟る
浴槽に浮かべて艶やかに笑うお前
それでこそ女神だ!
私はお前の為だけに言葉を紡ぎたい
私はお前の言葉を奪って詩へ昇華する
明日もまたお前は俺の頭を毟り浴槽へ浮かべるだろう