香りの良い花を好んだ

生涯に光る数だけ季節を迎える

御伽噺に教訓や願いが含まれたとて

理解する頃には大人の線引きを跨いでしまっている


主語のない顔は私であり、あなたであった。」


花柄の壁紙が色褪せてゆく

西日が燃えるので茜色だ

(幼い頃の事ばかり思い出すんだって)

独白が部屋の隅に溜まっている


生命を燃やし尽くすまで弱火で長く生きたいのか、

焦がれるような強火で燃え尽きたいのか、)

選択肢は生まれる前に選んできたんだって」


「わかるように言ってくれないと

それは停滞して後退するんだって


強ち中火で半端にいためてしまった所為だろう


一行が冗長だよ、君!」


詩から離れる心算なのだ。

〈詩が逃してくれるかは別問題だとして、〉


整えて予定調和することは簡単だよ」

誰も自分の顔を変えずには居られない

変化してゆくものだからね、


物語が終盤でゆっくりに戻る

手を離す事を惜しむように

大切な言葉は最期まで伝えずにいよう

何故ならわたし(あなた)は既に

言葉そのものだからではないからだ


無駄を省かずにいることは心の潤滑油なのだから勿体ぶらずに余韻に浸るのみ


何処までも間延びして詩を断絶せしめる


握りしめた愛はいつでも冗長な理由を

言葉にできずに腹の底に溜めている

それが君そのものだったから

言葉は言葉でしかなく

言葉は言葉なのだから

初心に戻ってやり直し