あなたはあの時、私の上で「忘れないで」と言った。
私は忘れたかったのに。
忘れたほうが楽だったのに。
知らない間に流れた涙をあなたは口で受け止め、きつく抱きしめた。
痛いくらいだったのに、私は嬉しくて堪らなかった。
その後あなたから連絡はなかった。
私からは一通のメールだけ。
3日待って待つのを止めた。
あれから一年。
遠くの彼は元気でいるのか。
彼の影は濃くなったり薄くなったりしながら私の中を漂っていた。
きっとあなたは会う前から終わりにするのを決めていたんだろう。
中途半端に切れてしまった私たちをもう一度、ちゃんと断ち切るために。
あの時、私はあなたの夢を見たの。
私の目を見て、笑っていたから。
私はあれから初めてメールを作った。
送ったメールは何の内容もなくて。
ただあなたの存在を感じたかっただけ。
送った後、手が震えた。
突然震える携帯があなたのメールを教えてくれた。
あなたの名前を見ただけで、涙が止まらなかった。
こんなにも好きなのに、何で忘れられると思ったんだろう。
開いたメールに彼の気持ちがあるのだとしたら、私は知りたいだろうか。
思い切って開いたメールにはたった一言。
「どうしても忘れられない。」
あなたの言葉に縛られたのは、あなただったのか、私だったのか。
結局最初から私たちは何にも変わっていないのかもしれない。
決して一緒になることはないのに。