原題:Child 44(2015)
真実を追求するのは
正しいことなのか
あらすじ
ソビエト連邦。
MGB(ソ連国家保安省)の捜査官、レオ・デミドフ(トム・ハーディ)はスパイ容疑がかけられているブロツキー(ジェイソン・クラーク)を追っていた。
隠れているとの情報があった農家に赴くと、そこに住む夫婦は口を割ろうとしない。
レオは農家の先に逃げるブロツキーを見つける。
ブロツキーを取り押さえ農家に戻ると、
部下のワシーリー(ジョエル・キナマン)が農家の夫婦を銃殺しているところへ遭遇する。
レオは激怒しワシーリーを殴りつけ、残された子供達を孤児院へ連れて行く。
数日後、同僚の息子が線路脇に遺体となって発見される。
同僚は殺人を主張するが、クズミン少佐(ヴァンサン・カッセル)はスターリンの「殺人は、資本主義の病である」という言葉の下、
列車事故だとして処理しようとレオに同僚の説得を命じる。
クズミンの言うままに同僚に検死結果を伝えるレオだったが、同僚の話からこれは単なる列車事故では片付けられない事件だと感じる。
レオはクズミンから次の任務を言い渡される。
ブロツキーが自白した人物の中の1人を調べて欲しいという。
そうして渡された数枚の写真には、自分の妻であるライーサ(ノオミ・ラパス)が写っていたのだった。
ネタバレ感想。
たまには真面目なのを観てみようかと(笑)借りてきたこの一本。
これは面白い!
一緒に借りた「コードネームU.N.C.L.E」といい、今回は当たりでした!
パッケージを見た限りでは、森で行方不明になったたくさんの子供を探す映画だと思ってました。
実際は、その時のソ連の内情を反映した上質なサスペンスに仕上がっておりました。
トム・ハーディは本当にいい俳優さんですね。
ベインの時のような声が大好きです。
と、いうか彼だけでなく他の俳優さんたちもなかなか豪華。
すげぇムカつく部下役のイケメンは見たことあると思ったらリブート版「ロボコップ」の主役を演じたジョエル・キナマン。
逃げてボコボコにされたブロツキーは「ターミネーター ジェニシス」のジェイソン・クラーク。
役柄どおりの名前なクズミン少佐は「クリムゾンリバー」のヴァンサン・カッセル。
ミステリアスな妻・ライーサは「ミレニアム」のノオミ・ラパス。
極め付けは主人公に協力するネステロフ将軍役に、あのゲイリー・オールドマンです。
ストーリーは序盤かなり展開が早く、レオが左遷されてからは事件の核心にじわじわ迫っていくという形になっています。
ただ殺人事件を追うのではなく、そこに当時の情勢や不正等の組織の内部事情などが絡んできてすごく見ごたえのある作品となっております。
考えさせられるような内容でもあり、
中でも印象に残ったのはネステロフに捜査協力をしてもらえるよう説得をする場面。
ライーサが児童殺害事件が起きてから子供を送り迎えしているというネステロフとその妻に対して
「じゃあ犯人は捕まったから、明日から1人で森を通っても大丈夫よね」
と云います。
殺人事件は少しでも疑わしき者を真偽関係なく“犯人”として逮捕し、
解決としている民警への強烈な皮肉なのですが
ライーサはなんの嫌味も込めず淡々と当たり前のように云い、夫婦は顔を見合わせます。
正義を歪め、平穏を偽るという内情を改めて気づかされるのです。
「生き残るためには、必要なことをする」
それが例え間違ったことだとしても、秩序を守るためにはそれを厭わない、
だけどそれでは本当の解決にはならない。
主人公・レオはそんな組織の中の人間ですが
左遷され、その場所で同僚の子供の時と同じ事件に遭遇し、真実を追求することに目覚めます。
恐怖と隣り合わせの暗く、どんよりした街を
レオが死に物狂いで奔走する様にはとても心を打たれます。
アクション、ストーリー、役者さん、
どれをとっても非常にレベルが高く見ごたえのある素晴らしい映画でした。
