2022年の初演で大好きになり、チケット買い足した舞台。再演に足を運びました。

 

初演感想1↓

 

初演感想2↓

 

今回、多くのメインキャストが入れ替わり(ばっちと山寺さんだけが同役で続投)、なるべく全キャスト観たかったけど、観劇日の都合でアーシャは加藤梨里香ちゃんのみになりました。でも、今の私の若手女子一推しは梨里香ちゃんなので(「SMOKE」梨里香ちゃん回、4回行きました😆)むしろラッキーと思って良いかな?

 
幕開け、梨里香ちゃんアーシャは客席から登場!舞台上のパガニーニ宅、アーシャが2階から忍びこむ…という辺りで気づいたけど、回り舞台になってる!場面転換がスムーズになり、ラストのパガニーニVS悪魔アムドゥスキアスの対決場面などで、効果的に使われていました。
 

木内健人くんニコロ・パガニーニ

ばっちに比べると嫌な奴感が薄めで、それは敢えて自然な演技なのか、やり足りないのかわからないけど…悪魔と呼ばれる表の顔より、内面の優しさを強く感じます。

序盤の「Cruel God」…自分が天才でないことを自覚し、頭の中に流れる音楽を表現できない苦しみ…これは「アマデウス」のサリエリに通じますね。芸術に身を捧げる秀才共通の葛藤。"動け、動けこの指"の歌詞が辛い。

アーシャに対しても、自分の代わりに楽しんで自由に演奏してほしいという気持ちが表れています。

何よりお母さんへの愛情が強い。そもそもお母さんの期待に応えられないことに苦しんだからこその悪魔との契約で、「母さんは僕を誇りに思ってくれた?」という台詞が切ない🥲

 

相葉裕樹くんニコロ・パガニーニ

人々から悪魔と呼ばれる傲岸不遜感、嫌な奴っぷりが観ていて楽しくなるくらい🤭そこからのギャップで、アルマンドやアーシャ、ベルリオーズにかける優しい言葉にホロリとさせられます。

見せ方上手く、ダンスで表現する演奏場面、止め止めのポーズが目に焼きつくくらいカッコ良い。ただ初演で私の一番好きだった場面…悪魔との契約の瞬間、髪を解いてロン毛を揺らしながら、奥からシェネで出てくる振りがなくなったのが残念(たぶんセットの奥行きがなくなったせい)🥲

100万曲目の演奏場面=悪魔との対決…戦うばっちに胸が躍ってしまう私…はい、「シンケンジャー」ファンでした🤣

 

中川晃教くんアムドゥスキアス(悪魔)

天才役と言えばこの人…だったアッキーが、もう天才も人間も超えて悪魔になってしまった。

あなたこそ、実は悪魔と契約したでしょ!と言いたくなるくらい、圧倒的な歌声。

初演より、さらに高らかに歌い、自由に動いているのでは?

赤い照明の中に浮かぶ姿が小鬼のよう。

とても楽しげで、とても残酷。

終盤、自分も神に作られたのに天国を追われた…と堕天使の苦しみを歌う。神に愛される人間を思いのまま操りたいという感情だったのか…と気づきました。

 

畠中洋さんアルマンド

初演のコスタ/ベルリオーズから役がわり。

小柄なのもあって、かわいい執事。誠実さが現れた歌声は確か。お休みをもらうところのアドリブ(フィガロ、フィガロ、フィガロ〜)ノリノリ。

 

山寺宏一さんアルマンド

初演時は推しの戸井勝海さん一択だったので、今回、やっと見ることができました。もともとこの作品は朗読劇で、パガニーニ以外の男性は全て山寺さんが演じていたと聞きます。つまりアルマンドも山寺さんが作り上げたキャラクターですね。飄々として味があり、これがオリジナルアルマンドかーと納得。

語るように歌う声が沁みます。で、驚いたのがラストの「アンコーラ」で…泣き声で歌ってる?ミュージカル俳優も泣きながら歌うことあるけど、涙流しても歌は基本、泣き声にならない(泣き声になった時はすでに歌が崩れる)と思うのだけど、山寺さんは、泣き声だけど歌になってる…これに似た印象持ったのは過去、やはり声優の平野綾ちゃんエポニーヌを見た時だけで…声優さんにだけできる技?

 

春野寿美礼さんテレーザ(お母さん)

この舞台の初演で私が一番好きだった台詞は香寿たつきさんテレーザがアムドゥスキアスに言った"あの子はあなたに負けません。(それがわかるのは)私が母親だから。あの子が私の息子だから"…香寿さんの台詞は笑っていても悪魔と対峙した凄み、殺気があったと記憶しています。

それに対して春野さんテレーザは湖のように穏やかで深い微笑み。息子を信じ、息子の代わりに自分が悪魔の呪いを飲み込もうとしているようで…その後、お母さんが亡くなったと手紙が届く流れに繋がっていました。ラスト、「アンコーラ」で、(パガニーニの)命が尽きても音楽は100年、また100年続いていく…と歌うのもお母さんで、死してなお、息子の天才を信じ、誇りに思うお母さんを体現していたと思います。

 

加藤梨里香ちゃんアーシャ

可愛くも力強いジプシーの娘。差別されて生きてきた彼女が音楽には差別がない、自由をくれると信じてパガニーニに音楽を教えてと願う。「自分の人生は自分で決める」アーシャが、契約に縛られたパガニーニの対比となっています。バイオリンを持ってワルツステップで踊りながら歌う「Asha the Gypsy」は歌もダンスも素敵。ラスト…パガニーニが捧げていたのは”音楽ではなく命”と言ったアーシャの言葉が悪魔に一矢報いるヒントとなり、彼女がアムドゥスキアスに言った”あなたはこの世で一番ギャンブルが弱い人にギャンブルで負けたのよ”…は痛快です。

 

元榮菜摘さんエリザ・ボナパルト(ナポレオン妹)

元榮さん…「四月は君の嘘」のピアニスト役が印象に残っていたので、キャスト発表時、ついにメインキャスト⁉︎と期待しました。

エリザとして登場した瞬間…うーん、立ち姿がまだ素人(学生演劇)っぽいかも?芝居の時の上半身手持ち無沙汰感、段取りで手を動かしている感、扇の持ち方も不慣れな感じ、「Tango to Sin」のエロス感じない、ファムファタール感ない…残念(まさしくコルシカの田舎娘ではあるけど)と思ってしまった💦

でも!!(↑のマイナスをひっくり返すくらい)彼女の歌声好きです!!そして歌いながらの動きは(段取り感なく)感情伝わる。「離れれば離れるほど愛」の、黄色い薔薇を1本、2本…手に取り、花束をかき抱き…ここ、私の大好きなエリザ!

この公演、地方公演まで全て演じ終えたら彼女大化けするかも?と楽しみにしています。

 

坂元健児さんコスタ先生/ベルリオーズ

最近、敵役演じることの多い(特に「ベートーヴェン」のフランツは酷かった💦)サカケンだから、コスタ先生が一層、嫌な奴になっちゃったなぁ~という感じ(それはそれで正解)。 

ベルリオーズは、とても素直な人だなぁ~という印象。パガニーニに侮辱されると直情的に怒るし、誉められ、励まされるとすぐに受け入れる。パガニーニからベルリオーズが歌い継ぐ「迷い子」も名曲(一番、客席に伝えるメッセージ性が強い)で、久々にサカケンの甘い声聞かせてくれてるなぁ~と嬉しくなりました。

最後の「アンコーラ」全員での歌い終わり・・・コンマ数秒、サカケンの声だけが残ってた…さすがの余裕ではあるけど、ここは全員バシッと同時に終わらせてほしかったかも?