ミュージカル「ベートーヴェン」2回目観劇。大人のダブルキャストは両方観たかったので、今回は小野田龍之介くんカスパールと、サカケン(坂元健児さん)フランツの日を選びました。


カスパールの小野田くん、こんなに甘い声で歌える人だったんだ〜😳⁉︎(クリスも見ているけど)オルレアン公やマチルダの校長先生みたいなクセ強い役の印象が強かったので本当に意外でしたが、十分にラブストーリーの主役ができる声だったんだなぁと再認識しました。この日のベートーヴェン(芳雄くんアドリブ?)が「優しい声だなぁ〜」と言っていたのに同感です。


フランツのサカケンは、シュガーほど嫌ではなかったかも?サカケンの方が隙があって、コンプレックスもありそうで人間味あり。シュガーは本当に隙もなく、嫌な奴だったなーとあらためて思います。


ベートーヴェンという作品に関しては、当初(観る前〜初回観劇途中まで)、ベートーヴェン曲に歌詞をつけて歌うなんてとんでもない!と否定派でした。

昔(2012年)に「カルテット」という日本オリジナルミュージカルが上演され、クラシック曲の主旋律に歌詞をつけて歌うことを試みたけれど、かなり苦戦し、2013年上演(たしか主催、演出は同じ)のミュージカル「船に乗れ」では、クラシック曲を伴奏にして歌のメロディーは新たに作るという方向になった…という経緯が(クラシック曲ミュージカルの失敗として)印象に残っていたので、ベートーヴェンの曲に歌詞をつけるなんて無理でしょう!というのが第一印象。


加えてクンツェ&リーヴァイ作、音楽家を主人公にしたミュージカルと言えば、オリジナル曲を散りばめたロックミュージカルとして成功した「モーツァルト!」があるのに何故既存曲を?と疑問でいっぱいでした。


それが観ているうちに、賛成派に転じた理由は、この物語ではベートーヴェンの曲を使わなければ、ベートーヴェンの心を表現できなかったのではないかと思ったから。

モーツァルトよりずっと長いベートーヴェンの人生でこの時期を切り取り、実際には誰なのか分かっていない"不滅の恋人"はトニだったという仮定に基づいたミュージカル。2人の恋愛部分が創作であるがゆえに、普通に描くと、ただの不倫物語になってしまう💦そこにベートーヴェンの音楽を使うことで、彼の愛と情熱から数々の曲が生まれたのだと感じられ、その曲こそが、このミュージカルをベートーヴェンの物語たらしめていると思えました。

もちろん、それが可能になるのは井上芳雄くんベートーヴェン、花總まりささんトニを始めとした出演者の実力あってこそ。逆にここまで難曲揃いのミュージカルとなると、歌唱力が中途半端な役者は排除され、クオリティが保証されるという利点もあり、本当に素晴らしい歌声を聞かせていただきました。


これってベートーヴェンを使ったジュークボックス・ミュージカルという解釈で良いのかな?「マンマ・ミーア」から「ムーラン・ルージュ」まで、さまざまなジュークボックス・ミュージカルを観てきたけれど、「ベートーヴェン」の壮大さはクラシック曲を使ったからこそ。この成功(と思って良いのかな?)を機に、今後も次々とクラシック・ジュークボックス・ミュージカルが生まれるのではないか?という予感がしています。