PARCO劇場にて「ひげよ、さらば」観劇。


ぶっちゃけ、Hey!Say!JUMP箱推し活動の一環で、中島裕翔くん目当てで観ること決めましたが、その後で脚本・演出は(井上芳雄くん舞台などでよく拝見している)蓬莱竜太さんとわかり、これは期待できるかも…と思いました。


予想通り、蓬莱さん脚本、芳雄くん主演の「首切り王子と愚かな女」にも似たダークなテイストのファンタジーで、興味深い舞台でした。


登場するのは野良猫と野良犬。満月が輝く舞台は「キャッツ」を思わせますが、この舞台の猫たちには舞踏会をやっている余裕はなく、犬との戦いが迫っています。


「片眼」柄本時生くん、「学者猫」音月桂さん、「オトシダネ」忍成修吾くん「黒ひげ」一ノ瀬ワタルさん、「星からきた猫」屋比久知奈ちゃん、「くずれ猫」中村梅雀さん…と、

演技派俳優、歌舞伎俳優、ミュージカル女優、元宝塚トップ、元プロ格闘家…など個性的な役者が作る野良猫の世界に、

「ヨゴロウザ」中島裕翔くんがやってくる。


記憶喪失の元飼い猫という異質な存在だけれど、犬と戦うためのリーダーに担ぎ上げられるヨゴロウザ。余所者感がありながら、自然と中心に据えられる存在であることに、裕翔くんの持つ"華"が説得力を与えます。

しなやかな猫の身のこなしや殺陣、孤独や絶望、狂気の表情まで、長年培ってきた技術と演技力が発揮されていたと思います。


さすがは蓬莱さんの脚本で、犬と猫の戦いは人間の世界の縮図。なぜ戦争が起きるのか、争いがなくならないのか…を思い知らされて、背筋が寒くなる展開だけれど、ヨゴロウザがその名を捨て、自分で決めた名で野良猫として生きていくラストには、猫に喩えられた人間の逞しさも感じました。