2019年10月に初演された「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」の再演でした。
 
登場人物は作家トーマスと、彼の幼馴染アルヴィンの2人だけ。
初演時は田代万里生くんと平方元基くんが2役を交互に演じるという何ともチャレンジングな公演だったけれど、今回は固定キャストに。

 

初演感想↓

 

初演を見る前は、知的な万里生くんがトーマス、天然さんな元基くんがアルヴィンに向いているのではないかと予想したけれど、蓋を開けてみると意外にも逆の組み合わせが良くて、万里生くんの弾けっぷりはアルヴィン、元基くんの抑制の効いたナチュラルさはトーマスにピッタリでした。

 

だから今回、トーマス=元基くん、アルヴィン=万里生くんになったのは納得です。

 

アルヴィンのために弔辞を書き始めたトーマスが、僕の親友→良い友達→古い友達・・・と呼び方を変えながら逡巡し、アルヴィンの幻(?)に導かれて2人の物語を思い出し、迷いなく「僕の親友」と書くまでの、トーマスの内面で起きた変化を描く舞台・・・

 

今年はそれぞれが1つの役に集中して取り組んだことで、役が深まったと感じました。

 

万里生くんアルヴィンは、無邪気でかわいいだけでなく、怖さが潜む・・・。トーマスがアルヴィンの死に関して抱いている自責の念や後悔、怖れがアルヴィンの姿として表れているのではないかと思いました。

 

元基くんトーマスは、その苦悩が色濃くなって、アルヴィンに「来るな!」と叫ぶまで、いかに彼が追い詰められていたか伝わってきます。

 

最終的に、アルヴィンの死の真相はトーマスにも観客にもわからないままで、スッキリしないのだけれど・・・

アルヴィンこそが自分の閃きだったと気づいたトーマスが、アルヴィンの物語を自分の一部とすることで、2人の物語は1つに融合され、アルヴィンはトーマスの中で生き続け、トーマスの小説の中に甦るのではないかと予感させます。

アルヴィンの死の真相はわからず、この舞台を完全に理解できたとは思っていないけれど、子どもの時からの友情で結ばれた2人を温かい気持ちで見守ることができ、

2021年のクリスマスシーズン、万里生くんと元基くんの、この舞台に出会えて良かったな・・・と、ホッコリした気持ちで帰途につきました。